ナインの心は燃えていた。前夜に死球を受けて負傷交代した山本は、右尺骨の骨折と診断された。応急処置を施されたベンチ裏では「出ます」と志願し、三浦監督が止めたほどだった。痛い、かゆいは二の次。冷静沈着な扇の要が、闘志をむき出しにした瞬間だった。
試合後に宿舎で山本の骨折を知った同い年の牧は、熱い思いに奮い立った。「どんな状況でも最初から最後まで出るというのが祐大の形。祐大が一番きつい」。この日は背番号50が見えるように正捕手のユニホームをベンチの壁にかけ、チームの心を一つにした。
三浦監督は山本を「気持ちの強い男」と評し「祐大も一緒に戦っている」と強調した。チームは3位広島との差を再び1ゲームに縮め、18日から6ゲーム差で追う首位巨人との2連戦(東京ドーム)に臨む。このまま終われるはずがない。三浦監督、そして牧ら選手は口をそろえた。「祐大のために」。(鈴木智紘)
◆二回に2点適時打のDeNA・梶原「一振りで仕留める気持ちで打席に立った」
◆4安打1打点のDeNA・桑原「チームのために集中した結果、いい安打が出てよかった」
◆山本に代わり先発マスクを被り、3安打2打点をマークしたDeNA・伊藤 「祐大が抜けたからチーム力が落ちたと思われるのは一番嫌。勝ちたいとしか考えていなかった」