定例記者会見をする東京都の小池百合子知事=8日午後、東京都庁 ■9月11日 「条例・答申に従って適切に手続きを進めている」。東京都の小池都知事が8日の定例会見で判で押したように答えた。明治神宮外苑の再開発事業についてだ。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が文化的資産が危機に直面していると7日、緊急要請「ヘリテージ・アラート」を出した。
イコモスは神宮外苑を「市民の献金と労働奉仕により作りだされた世界の公園史でも類例のない文化的遺産」として、事業者や認可した都に大量の樹木を伐採する計画の撤回を求めた。「アラート」には法的拘束力はなく都や事業者としては「何をいまさら」といったところだろう。
そういえばジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長による性加害問題は国連人権理事会が調査に乗り出したことで、大きく潮目が変わった。イコモスがここまで介入するのも事の重大さを物語っているのではないか。それでも小池知事は「都民の理解と共感を得ることが極めて重要だと事業者に伝えている」と、人ごとみたいだ。
2日のラジオ深夜番組でサザンオールスターズの桑田佳祐が明治神宮外苑への思いを語り、新曲「Relаy~杜の詩」を初めてオンエア。再開発を憂い歌詞の中に「思いは詰め込んだ」と語った。計画見直しを求める「神宮外苑と国立競技場を未来へ手渡す会」には、歌手の加藤登紀子や作家の浅田次郎氏ら文化人78人が賛同を表明したという。
目の前の経済的利益のためなら自然保護などお構いなし。日本はそういう国と思われても仕方ないということか。現存する樹木を伐採せず再開発する方法を、一度立ち止まって考え直せないものかと改めて思う。(今村忠)