〝二刀流の聖地〟フェンウェイ・パークではメジャー5年目で初登板だった。この日は「3番・投手兼DH」で出場。同球場で先発投手が1-4番の上位打線で出場したのは、レッドソックス時代のベーブ・ルースが1919年9月20日のホワイトソックス戦に「4番・投手」として出場して以来、103年ぶりの快挙だった。
その試合でルースは六回途中まで3失点で降板。その後も左翼で出場を続け、九回に自らサヨナラ本塁打を放った。大谷は投手として、「野球の神様」の上を行く、7回6安打無失点。強打のレ軍打線から11三振を奪った。
レッドソックス戦の4回、中前打を放つエンゼルス・大谷=ボストン(共同)苦境もはね返した。4月22日(同23日)からチームは20連戦中。温暖なロサンゼルスを離れ、まだ冬気候のシカゴ、ボストンを転戦した。前日4日(同5日)は延長戦にもつれ込み、試合終了が午後10時54分。デーゲームのこの日は試合開始が午後1時35分だった。わずか14時間で「体的には正直しんどかった。でも、ギリギリまで。バス(の出発)が遅かったので、(午前)10時ぐらいまでは寝ていました」と睡眠時間を最優先し、コンディションを整えた。
右股関節の状態を見極めるため、前日まで先発起用に悩んでいたマドン監督も「(活躍が)当然のことと思わないでほしい。大谷の才能は異次元だ。厳しい状況の中、今季最高の投球を見せてくれた」とたたえた。
打っては四回に右中間フェンス直撃の安打、八回はグリーンモンスターを直撃する左越え適時打と、まさに二刀流の活躍でチームを勝利に導いた。開幕から苦しんだ1カ月。ルースゆかりの地で、大谷が完全に目覚めた。
■フェンウェイ・パークレッド ソックスの本拠地で、1912年に開場したメジャー最古の球場。初のメジャー公式戦は同年4月20日のレ軍-ハイランダーズ(現ヤンキース)。外野は、左翼が狭く右中間が広いのが特徴。左中間は直線的で、緑色の巨大フェンスは「グリーンモンスター」(高さ約11・3メートル)と呼ばれる。中堅約118・9メートル(中堅最深部は約128メートル)、右翼約92メートル(右中間約115・8メートル)、左翼約94・5メートル。収容人数約3万7000人。ベーブ・ルースはヤンキース移籍以前の14-19年に本拠地としてプレー。同球場では通算49勝、49本塁打を記録している。