やまだい農園をリンゴ狩りに訪れた小平(左)と農園4代目の西沢さん(西沢穂孝さん提供) スピードスケートは19日、全日程を終了した。女子の小平奈緒(35)=相沢病院=は大会直前に右足首を負傷した影響で、2連覇を狙った500メートルで17位、1000メートルで10位に終わったが、地元・長野の思いを背負い、最後まで戦い抜いた。金メダルを獲得した前回平昌五輪後に訪問した長野市赤沼のリンゴ農家「やまだい農園」の西沢穂孝さんが、小平の〝地元愛〟を明かした。
かごいっぱいに詰め込まれたリンゴから〝地元愛〟があふれた。2020年10月26日。小平は100年以上続くリンゴ農家「やまだい農園」を訪問。長野が台風19号による被害を受けてから1年がたったときだった。
「被災した地域のリンゴ狩りがしたい」。その日朝、小平から西沢さんに突然、共通の知人を通して連絡が入った。
同農園は決壊した千曲川から約2キロ。災害時の水位は2・5メートルに達し、出荷直前のリンゴ約50トンが濁流にのまれた。訪問時、周辺は復興途上でさら地が広がる中、真っ赤に実ったリンゴ。小平は10キロ入るかごが満杯になるまで収穫。「私も(復興を)応援したい」と伝えた。
リンゴ狩り後には決壊現場周辺を見て歩いたという。西沢さんは「小平さんが積極的に災害ボランティアに参加していることも知っていました。普通、金メダリストはやらないことだと思う」と感謝の思いを込めた。
昨季は農家を元気づけようとリンゴをイメージした赤のユニホームを着用して戦った。「勝手に家族のような存在だと思っています」と西沢さん。小平は大会直前に捻挫して右足を踏ん張れない中、最後まで戦い抜いた。
「不格好な作品にはなったが、今を乗り越える姿を見せられたのかな」。北京で刻んだ合計1500メートルは、長野の〝家族〟に勇気を届けたはずだ。(武田千怜)