プロ野球は1日、宮崎、沖縄両県で12球団が一斉にキャンプインした。新型コロナウイルス感染が拡大し、選手にも感染者が相次ぐ中、2年ぶりに観客を入れて実施。注目の日本ハム・新庄剛志監督(50)は、沖縄・国頭村「かいぎんスタジアム国頭」の2軍キャンプから異例のスタートを切った。白い高級三輪バイクを運転して派手に球場入りすると、グラウンドでは一転して基本技術などを堅実に指導。〝二面性〟を巧みに使い分けた。
迫力あるエンジン音をとどろかせ、新庄監督が2軍キャンプ地に現れた。最上位グレードが1500万円ともいわれる三輪バイク、トライク「GORDON」にまたがりド派手に登場。宿泊する名護市内のホテルから、かいぎんスタジアム国頭までの約30キロを海風に当たりながら運転し、訪れた279人のファンを魅了した。
キャンプイン前夜は花火ショーを主催。この日は左腕に2つ時計をつけ、右足だけ裾を上げた奇抜な着こなしを披露した。ただ、ひとたびグラウンドに出れば表情を一変。真剣なまなざしで打撃練習を見つめ、ブルペンも視察するなど精力的に動き回り「せっかく練習をやっているのにもったいない。練習のための練習をしているように見えた。(練習を)試合のようにやってほしい」と熱く呼び掛けた。
「横一線の競争」を象徴するように初日に2軍から指導にあたる異例のスタート。中でも力を入れたのが現役時代から重要視する守備と走塁だった。走塁では自らタッチアップ時の姿勢を2つ実演し、タイムが速くなる方を採用するよう提案。二塁走者が三塁ベースをどう蹴るかについても「ベースをストッパーにして白線の内側に入る」ことを求め「(左翼からの送球が)体に当たったらラッキー」と意図を説明した。
一見不思議でも聞けば納得。あらゆる場面を想定して準備するのがビッグボスの流儀だ。長打力不足に悩むチーム状況を踏まえ、「ノーヒットで1点を取る」狙いが、その根底にある。
選手たちも感じるところがあった様子で、「親身に教えてくださった。真摯(しんし)に取り組んでいる選手、派手さがなくても真面目にやっている選手を平等に見てくれている印象」と3年目の宮田。グラウンド外での派手さとは対照的に、地道に細部へこだわる〝二面性〟こそ球界で指導者・新庄に期待する声が多い一因といえる。
背番号1のユニホームを上着に隠したまま一日を終えたビッグボスは、再びバイクを運転して名護へ。約9時間に及んだ初日にも「疲れていません」と涼しい顔を見せた。華やかさときまじめさが同居する〝新庄流キャンプ〟が幕を開けた。(箭内桃子)
★気遣いも キャンプ初日から〝スター〟ぶりを発揮⁈ 昼食時には「ビッグボスランチがあるので、皆さん食べてください」と、新庄監督自ら手配したキッチンカーが設営され、報道陣に差し入れ。沖縄・うるま市に店を構える「パナマ原人」のスパイスカレー約100食が振る舞われた。球場には「ヴイックス」(大正製薬)150箱も用意。含有のセチルピリジニウム塩化物水和物が新型コロナウイルスの感染力を低下させるとされるドロップを配り、周囲の健康を気遣った。