(セ・リーグ、広島7-6阪神、16回戦、8勝8敗、29日、マツダ)阪神は3連敗で3位転落。西武、中日でコーチを務めた通算465本塁打の土井正博氏(77)=本紙専属評論家=は、無死からの走者が4度も出ながら、一塁にくぎ付けばかりの攻撃を疑問視。「ベンチが無策。打って勝つだけの横綱相撲の試合をしていては優勝争いに残っていけない」と一刀両断した。
■無死一塁から3者三振
阪神の無策ぶりが気になった。近本が一、六回に安打で出塁。五回に小野寺が四球。七回には大山が安打。4度の無死一塁があった。ところが、その走者が進んだのは六回2死からサンズが左前打を放ったときだけ。ほぼくぎ付け状態だった。
広島先発・床田の投球内容は素晴らしかった。投手が本来の力を発揮すれば、そう簡単に点は取れない。そこで工夫するのがベンチだ。たとえばエンドラン。たとえばランエンドヒット。相手を揺さぶる作戦が全くなかった。
エンドランのサインなら、打者は何とか食らいついてバットに当てようとする。ヒットにならなくても走者は進む可能性が出てくるし、何より相手が「何かしてくるのでは」と平常心での投球ができなくなる。ベンチの動きが出ていれば、無死一塁から3者三振などという悲惨な攻めは起きない。無策ゆえの結果だ。
相手が一発攻勢で先制したから、阪神も一気に打って対抗しようとしたのか。調子のいい投手相手に打つだけで点を取るのは至難。毎度毎度、横綱相撲の野球で勝てるわけもない。ときには「けたぐり」などの奇襲も必要。この先、優勝を争う中では、相手も好投手をぶつけてくる。ますますベンチの作戦が重要になってくる。
■ヤマ張りタイプばかりで三振多い
三振が多すぎるのも気になる。理由は簡単。ヤマ張りタイプの打者が多いからだ。「真っすぐを待って変化球に対応する」考え方の打者は近本ぐらい。ヤマを張って当たればいいが、優秀な捕手が相手だと見抜かれて〝様子見の球〟を投げられ、崩される。オーソドックスに臨み、しつこく、ファウルで粘る。そうしないと三振が増え、打線が線にならない。
調子の悪い選手が多く、打線の組み換えが頻繁に起きるのは仕方がない。大山、佐藤輝らは頭の中をリフレッシュさせることも必要。ただ、選手の入れ替え以外にも工夫はできる。たとえば、調子のいいロハスだが右打席の内容が左打席に比べると悪すぎる。ならば左投手が相手でも左打席に立ってもいいのではないか。優勝争うチームになるために、やるべきことはいっぱいある。
この日のような寂しい試合はなくさなければいけない。(本紙専属評論家)