ロッテは10日、昨シーズン限りで阪神を退団した鳥谷敬内野手(38)の入団を発表した。1年契約で、年俸は日本野球機構(NPB)が1軍で最低保障する1600万円。春季キャンプに参加していないため、井口資仁監督(45)はプロ17年目で初の開幕2軍を示唆した。新たな背番号「00」の通り、ゼロからの再スタート。泥水をすする覚悟ではい上がる。
鳥谷の新天地がやっと決まった。しかし、阪神にいたころのような、栄光に包まれた立場からの再出発ではない。新たに決まった背番号「00」と同じく、年俸も立場もゼロからの出発となった。
「千葉ロッテマリーンズの一員となれることをうれしく思います。今は感謝の気持ちしかありません。とにかくチームの優勝に少しでも貢献できるように精いっぱい、プレーをさせていただきます」
野球が続けられる。ロッテを通じて出したコメントに安堵感が漂った。
昨季まで阪神とは球界6位となる4億円の高年俸で5年契約。しかし、年俸は1軍最低保障の1600万円となった。実に3億8400万円(96%)の減少。出来高も、ロッテの松本球団本部長は「もうなにも(ない)。そこからのスタート」。だが、お金ではない。2000安打を放ち、歴代2位の1939試合連続出場を記録したレジェンドは、泥水をすする覚悟で再出発する。
しかも、プロ17年目で初の開幕2軍となる可能性も濃厚だ。現役時代、毎年オフの自主トレをともにした井口監督は、実績はあるが競争になるか? との問いに「もちろんそうですね」と答えた上で「キャンプもしていないし、実戦感覚も戻っていないと思う。当然、下(2軍)でやってもらうことになると思います」と明言した。
11日にZOZOマリンスタジアムを訪問し、12日からはロッテ浦和での2軍練習に参加する予定。3月20日の開幕戦(ソフトバンク戦、ペイペイ)が延期になったとはいえ、競争を勝ち抜いて開幕1軍をつかむには、あまりに時間が少なすぎる。
高額年俸者が退団、移籍して大減俸となった例には2007年の中村紀洋(オリックス→中日)がいる。2億円から400万円(98%減)となったが、これは育成契約だったため。支配下登録では、17年の松坂大輔(現西武。ソフトバンク→中日)の4億円から1500万円(約96%減)というケースがある。鳥谷より1歳年上で39歳の松坂は中日で復活し、いまも現役。中村紀も、3球団を8年間渡り歩いた。鳥谷もできるはずだ。
阪神から引退勧告を受けた昨季は74試合の出場で打率・207、0本塁打、4打点とプロ最低の成績に終わり、現役続行を希望して退団。直接会談した松本球団本部長は「本人に会って戦力としても期待している、と。若手を引っ張っていただきたいという話もした」。井口監督も「当然、戦力としても考えている。内野は全部守ってもらいたい」と期待を口にした。応えるしかない。はい上がって、生きざまを1軍で見せつける。
「本当にうれしい。ロッテでまたプレーができることに、本人もホッとしたと思います」
★内野選手層薄く
当初、鳥谷が代理人を通じて出場機会の確保を求めていたため、若返りを目指すロッテは獲得に消極的になっていた。しかし、キャンプで遊撃・藤岡や二塁・中村奨がコンディション不良で別メニュー調整に。他の内野陣は平沢(22歳)、安田(20歳)、西巻(20歳)、D5位・福田光(法大、22歳)と若く、層の薄さが懸念されていた。鳥谷側が軟化したこととチーム事情が重なって、今回の入団につながった。松本球団本部長は「内野の補強を、厚みを増したいということが一つ」と説明した。
★鳥谷の阪神退団経緯
2018年から北條ら若手の台頭で出場機会が減少。5年契約最終年の19年は主に代打での出場となったが、打撃不振で代打でも活躍できず。8月29日に揚塩球団社長から「ユニホームを脱いでください」と引退勧告を受けた。しかし、現役続行を希望して「他球団に行きます」と即答。最終的に74試合で打率・207、0本塁打、4打点とプロ入り後最低の成績に終わり、退団した。シーズン終了後は代理人を立て、出場機会の確保などを条件に複数球団と交渉していた。
★泥水をすする
「泥水を飲む」とも。満足な食事すら摂れない状態になること。また、地位が低く、頭を常に下げていなければならないという意味でも使う。