(セ・パ交流戦、阪神5-10日本ハム、2回戦、日本ハム2勝、8日、甲子園)それはそれは美しい中継プレーだった。広い甲子園の左中間最深部。打球を拾った高山から北條へ。背番号2は無駄な動作なくバックホーム。梅野が一走・清水にタッチ。球審のセーフの判定に、矢野監督がリクエストし、リプレー検証で覆ってアウト。狭~い球場では絶対に味わえない醍醐味に、スタンドは「この日一番」沸き返った。
そう、最後に反撃したとはいえ、「この日一番」がこのプレーだったことが悲しい現実だ。
「こういうプレーでハッピーエンドにならないのが、阪神なんや」
ポロッとつぶやく。長年の勘というヤツ。記者席の隣の隣に座っていた長友孝輔が不安そうにこちらを見てきた。隣にいたデスク阿部祐亮も、やっぱりそうですか、という顔だ。
案の定、連打が飛び出し、スーパー中継プレーは、過去の話になっていく。満塁で打席に清宮。
「死球押し出し、岩田は交代、そして満塁本塁打やな」
読者のみなさま、申し訳ないが頭の中にそれが見えるんだから仕方ない。直後、岩田が清宮の右腕にぶつけて押し出し。岩田に代わった馬場から渡辺の満塁ダ~ン!
どうや、後輩たち。30年近く虎の戦いを見ていると、悪い予感はほぼ当たるんや!(何の自慢にもならないが)。あまりの惨劇に長友は絶句。そして、こんな感想を漏らした。
「はぁ…これが阪神の歴史なんですね。すべて見通せるなんて…」
褒めてくれて、ありがとう。かくして、今季最多4万6724人の大観衆で埋まった決戦は悲しき凡戦へとまっしぐら。
試合前は楽しかった。「2019年甲子園球場乾杯プレゼンター」でもあるお笑いコンビ「ダイアン」津田が始球式に登場。ノーバウンド投球を披露した上に、マウンドで代名詞ギャグ「ゴイゴイスー」を炸裂させた。
「メッチャ緊張しました。スベると思ったら、メッチャ受けましたね」
ギャグにちなんだ背番号「51514」のユニホームを着た津田は、報道陣に囲まれてドヤ顔。さらに「ことし一番、ゴイゴイスーな活躍を期待したいのは近本選手」と最後まで舌好調だった。
そんな光景に爆笑していたわがサンスポトラ番軍団。記者席でも相手先発・金子の話題になり…。
「僕が今まで見た中で最高の投手。何でも気さくに答えてくれる、ナイスガイでした」(2008年オリックス担当の阿部デスク)
「僕の担当時は沢村賞受賞。すごかった。でも、取材は難しい投手でした」(2014年担当。現阪神キャップ・大石豊佳)
ふ~ん、実は俺の担当時は、勝たない、しゃべらない、原稿にならない…だったなぁという感想は、置いといて…。阪神相手に6回ゼロ封。悔しいけど、復活したんやなぁ金子クン。でも阪神よ、情けないぞ。お客さんに申し訳ないぞ。
トラ番・竹村岳が「きょうは両親が来てたんですよ」と残念そう。滋賀県の実家から父・正義さん(58)母・京子さん(55)がアルプス席に。
「父は、なぜか日本ハム時代の大谷の、母は藤川球児さんのユニホームで観戦してまして。母からは『楽しくなかった。頑張れ、矢野阪神』のメールが届きました」
ファンを悲しませるのはほどほどに。きょうぐらい、スカッと勝ちましょう。