再スタートの日だった。練習前には甲子園の外野で円陣が。金本監督の檄に、背番号7も耳を傾けていた。
前日の広島戦。一塁ベンチに座り、腕組みしながら胴上げを目に焼き付けると「リベンジしかない? そうですね」とつぶやいた。優勝を逃した悔しさはある。が、日本一の可能性はまだ残っている。虎の超人も思いを新たにしたはず。切り替えるしかない、と。
いきなりロングティーを志願。不振から脱出する時も、好調を維持する時も、一番頼りにしてきた練習方法で、ターゲットをCSに定めたのだろう。打ちまくって、俺が引っ張る-。今は劣勢だが、必ず逆転する-。そんな思いを込めて。
「引っ張る」
「逆転する」
2つのフレーズと、冒頭の糸井の言葉。世界史にあまり詳しくないあなたでも、思い出しませんか? フランスが生んだ、あの世界的ヒロインの実話を。
英国との「100年戦争」で劣勢の母国フランスを救うため、軍旗を手に先頭に立って引っ張ったジャンヌ・ダルクの勇姿。そして、敵を打ち破った、あの歴史上の大逆転劇。ひょっとしたら、糸井は神のお告げ、ならぬFAのお告げでタテジマにやってきた、現代の奇跡のヒーローかもしれない。