森光子さんとの初対面は少年隊がデビューした翌年の1986年、NHK紅白歌合戦に初出場したときだった。
以前から森さんが僕のファンだというのを人づてに聞いていたが、とても信じられなかった。日本のお母さんと呼ばれる大女優が、デビューしたてで弱冠二十歳の僕なんて…という思いだった。
紅白の本番直前に僕がスタンバイしていると、審査員を務めていた森さんが僕のところに来てくれて、「私、あなたのファンなの」とおっしゃってくれた。それが出会いだった。
紅白の後、別の歌番組に出演した際にも応援に来てくださるなど、森さんには愛情を注いでもらった。88年に大阪で上演した初主演舞台「沖田総司」も見に来てくれた。それも、台風で止まるかもしれない新幹線に乗って、わざわざ東京から足を運んでくださった。
森さんは人と接するとき、年齢で分け隔てることなく、決して先輩面しなかった。敬意を表して、僕のことを「若旦那」「東山さん」と呼んでくれた。見習って僕も共演者は必ず、上の名前で呼ぶようにしている。
93年に主演したNHK大河ドラマ「琉球の風」など何度もドラマや舞台で共演させてもらったが、技術は高度過ぎて盗めない。森さんからは人への接し方、姿勢を学んだ。