その頃、ナゴヤドームのネット裏のビジター室では、楽天・星野仙一副会長が楽天の練習を眺めながらひょいっと振り返って「おい、ミッキー!」と声をかけた。ミッキーとは阪神の平田コーチのニックネームだ。ナゴヤドームには、まさか平田さんはいない。ン、ひょっとして俺…と、そこには足の短いミッキーことドラ番三木建次がキョトン。三木とミッキーとトラ番時代からいつもまぎらわしかったのだ。「好調ですね…」と三木。星野さんも当然、上機嫌だ。そこに通算2000安打にあと2の荒木雅博選手が恩師でもある星野さんにあいさつに現れた。すると星野さんはしかめっ面をして「きょうは(2000安打を)決めろよ。1本は自力で打てョ、ウフフ…」とニヤッ。つまり、2本もサービスはしないぞ! というジョークだ。三木は「星野さんの温かさはそんな激励となっていました。古巣のナゴヤドームで3日の試合も放送のゲストで特別出演するらしいですョ」という。交流戦のよさはこういう「接点」があちこちであり、その人間交歓の場でもあることだ。
阪神は千葉から移動しての日本ハム戦だから、キャップ阿部祐亮は金本監督とともに羽田から空路で帰阪した。空港で10分便が遅れた。すると監督はアナウンス前に「もう10分遅れるぞ」と予言して、その通りになった。阿部が「ドンピシャですね」といったら、ニコッとして「采配もこうだといいけどなぁ…」。
ああ、それが岩貞の踏ん張り、原口、糸原で2点…だが皮肉にも薄氷を踏む展開でスクイズの成否がドタン場で明暗を分けた。ここが前夜までのロッテと日本ハムでは歯応えが違った。満員のマンモスに悲嘆の吐息が…。