サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏(69)が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)一色となりつつあるプロ球界と世間の風潮に、ビシッとくぎを刺した。「安易に『世界大会』を標榜(ひょうぼう)するなら、メジャーリーグのワールドシリーズから『ワールド』の冠を外せ」。独特の切り口とともに、週刊エモト再開です。 (構成=内井義隆)
――WBC開幕まで1週間です
「相変わらず、騒がしい。『世界だ、世界だ』と合唱しているね。困ったものよ」
――春季キャンプとオープン戦、そっちのけの感もあります
「最低でも、同じレベルにある50カ国・地域くらいで争うのが、世界大会じゃないのかね。参加チームは少ない上に、4カ国中、2チームが1次リーグ突破。どこが世界大会だよ」
――サッカーのW杯とは大きく違います
「野球にはそれ以前に『ワールドシリーズ』があることを、忘れていないか?」
――伝統のシリーズです
「メジャーリーグには各国から、トップ選手が集まってくる。その中でチャンピオンチームを決めるから、ワールドシリーズと銘打っているわけだ」
――はい
「アメリカがWBCに乗り気でないのは、それがあるから。メジャーのシーズンと、ワールドシリーズという目標の方が大事なんだ」
――そうですね
「その路線上に立って、毎年秋に、例えばまず日本と韓国の王者チームが争い、その勝者がメジャーの王者と激突する。その方がスッキリするだろ」
――季節的な不平等もありません
「国の代表といっても、日本だってメジャーリーガーは青木だけじゃないか。どうしても、WBCを『世界大会』と標榜したいのなら、ワールドシリーズから『ワールド』の冠を外してもらえよ。代表選手が一堂に会すような大会にしろよ。それならまだ、分かる」
――なるほど
「今の仕組みの中では、負けたときの言い訳も、想像にかたくない。『時期が悪い』『メンバーがそろわなかった』。結局はそこに行き着く」
――そうなるでしょうね
「それで済まされるようになると、ますます『世界大会』という意味もなくなる。一過性で浮かれてばかりいないで、しっかり現実を見ないといかんのだよ」