約30分の交渉を終えた中谷は、会見上に姿を見せると「(年俸を)上げてもらいました」と声を弾ませた。今季64試合に出場し、打率・266、4本塁打、14打点。規定打席には到達しなかったが年俸は700万円から1200万円と大幅増。プロ6年目で、ようやく未完の大器の片りんを見せた。
「マツダ3連戦の試合を思い出します。あれが自分の中でポイントになった試合でした」
人生の分岐点だった。今季の外野陣は、新人の高山や横田がオープン戦から騒がれ、初昇格は6月14日と出遅れた。
そして出場6試合目で迎えたのが6月24日からの広島戦。交流戦明けの大事なカード、すべてでスタメンを託された。初戦にプロ初猛打賞を記録すると、2戦目はプロ初アーチとなる2ラン。しかし3戦目。中堅を守っていた同点の九回二死満塁で、飛球を追って左翼の俊介と激突。捕球していた白球をこぼし痛恨のサヨナラ失策となった。
チームは3連敗。広島との実力差をまざまざとみせつけられた。中谷にとっては、手応えと屈辱を味わった運命の3試合だ。過去5年で2本しかヒットを打っていなかった男が1カードで11打数6安打、打率・545。以後、出場機会は大きく増えていった。金本監督からも高山、北條、原口らと「将来は虎を背負っていく可能性がある選手」に挙げられた。
「いろいろ経験できました。自分の野球人生の中で、一番いいシーズンだったかなと」