安芸の上空、右翼の方角へ、指揮官は何度も目を細めた。陽光に輝く広大な太平洋に負けないくらい、中谷が大空に描く成長曲線がまぶしかった。鍛錬に次ぐ鍛錬の秋季キャンプが終了。多くの選手の成長を感じ取り、「大砲誕生」の産声を確かに聞きながら、金本虎が3年目へ向かう。
「ここから中谷がもう一歩、いきそうな気がしますね。(30本塁打も)彼なら絶対、打てると思う、俺は。彼なら打てると思っているからずっと、期待もしてきたし。(今年の)『(打率)2割4分の20本』というところが終着点ではない」
絶対に、だ。予言というより確信-。野手MVPには大山、陽川らの名も挙げたが、とりわけ中谷の秋の成長には目を見張るモノがあった。
「右方向に打つときに、割と下半身が使え始めたというのは一番大きいんじゃないかな。長いバットで、ちょっとヘッドの使い方を自然に覚えた感じはしますね」
今季は球団の生え抜き右打者としては2006年の浜中(現2軍打撃コーチ)以来の20発(打率・241、61打点)を放ったが、大半が左方向だった。左翼17、左中間2、中堅1で、右翼方向はゼロ。安打方向も、99安打のうち59安打が左(内野安打を除く)。「59・6%」が、引っ張りだった。