どの世界にもそうだけど、なぜか怒られないという人がいる。
怒られにくい、という方が正しいかもしれないが、岩貞はそのパターンに当てはまると複数の関係者が口をそろえる。もちろんそれだけ、やることをやっているということなのだが、その岩貞が6月に怒鳴られたことがあったというのだ。
「なんで、すぐ答えないんだ! 『いける』っていわないとダメだ!!」
そうガミガミと説教したのは原口だった。6月。投げても投げてもつかまり、白星にまったく恵まれなかったとき、試合中、マウンドに駆け寄った香田投手コーチから「まだいけるか?」と問われても、岩貞は考え込んでしまって何も答えられなかった。すると…。
「まだいけます!! サダ(岩貞の愛称)なら、大丈夫です!」
原口が割り込んで、言い張った。結果、続投となった。ベンチに戻ってきた原口はカンカンに怒っていた。なぜファイティングポーズをとらない? 自ら白旗を揚げるつもりなのか? 岩貞はこれでもかと、叱り飛ばされた。