日本シリーズ第7戦 楽天-巨人 4回、本塁打を放つ楽天・牧田=2013年11月3日、コボスタ宮城 いぶし銀なプレーヤーだった。堅実な守備と強肩、パンチ力ある打撃。楽天・牧田明久外野手(34)が今季限りでの現役引退を決めた。
「僕がそんな、上座になんて座れません。ここでいいです」
ある食事の席でのこと。3人だけのささやかな夕食だった。牧田以外の2人が、本人を激励しようと設けた一席。当然主賓のために上座を空けていた。ところが、牧田は頑としてそれを受け入れなかったそうだ。
「僕はいつもそうなんです。本当に、いいんです」
鍋料理店の個室で4人スペースの掘りごたつの座敷。奥の壁側に牧田を座らせようとしたが、そこを避ける。野球選手なら食事会に招待され、もてなされることが普通なのだろうが、遠慮に遠慮を重ねる姿に同席した人は驚いたという。
「こんな僕が、よくプロの世界でやってこれましたよね」
謙虚で実直だった。そして、地味で口ベタだった。でも、それが牧田らしさであり、よさだと思った。目立つことが苦手で、どこまでも控えめな性格。だが、ひたむきに野球に取り組んだ。
「(2013年の巨人との)日本シリーズにもスタメンで出場できて、本塁打も打てて、日本一にもなれた。恵まれていますよね。精いっぱいやって、やり残したことはないかな…」
今季はわずか16試合の出場。オフに戦力外通告を受けた。