甲子園球場×株式会社モリサワ100周年記念共同プロジェクト「甲子園フォント」お披露目式に出席した森澤彰彦・株式会社モリサワ代表取締役社長㊨
デジタル年表の前に立つ森澤社長
モリサワ本社ロビーに展示されている写真植字機
モリサワコレクションには文字と書物の歴史が詰まっている
タイガースのユニホームも飾られている ギャラリーページで見るビジネスパーソンが虎党人生を振り返る「我が愛すべきタイガース」(不定期掲載)。今回は約100年前に誕生した写真植字機をルーツに持ち、デジタルフォントの国内シェアトップを走るモリサワの森澤彰彦社長(62)が登場。阪神電鉄から依頼を受け、今シーズンより導入された「甲子園フォント」を共同プロジェクトとして開発。縁の下の力持ちとして猛虎を支えている。
昭和、平成、そして令和-。時代を超え、職人たちの技が生きている。レギュラーシーズンで37勝25敗。阪神は今季も甲子園で貯金を積み重ねた。シンボルであるスコアボードに戦いの足跡が刻まれる。「甲子園フォント」を手掛ける森澤社長が、大阪・浪速区のモリサワ本社で語った。
「書体を英語で表すとタイプフェース。文字には顔があります」
森澤社長の祖父・信夫さんが1924年に邦文写真植字機を開発。ちょうど100年のタイミングで、2024年に開場100周年を迎える甲子園球場からスコアボードで使用してきた「甲子園文字」の歴史を受け継ぐ、新たなデジタルフォントを制作してほしいと依頼された。
「エッ!?と思いました。スコアボード用ですか?と」。プロ野球の世界は急流。わずか一年で、のべ20人前後が入れ替わる。しかも、甲子園は高校野球の聖地でもある。驚きと同時に幼い頃の記憶がよみがえった。
「祖母が高校野球が好きで、甲子園に連れていってもらっていました。手書きのスコアボードは感慨深いものでしたね」
ボードの大きさの変化やビジョンへの移行もあり、現代のニーズに合わせた設計にするためには比較的太い「甲子園文字」をそのまま使うわけにはいかない。解析し、最適なデザインを模索した。球場でのテストも実施し、オファーから約2年で約3800文字の「甲子園フォント」が完成。歴史が残された瞬間だった。