八回に佐藤輝が同点打。起死回生の一打だった(撮影・水島啓輔) (JERA クライマックスシリーズ セ ファイナルステージ、阪神5x-3DeNA=延長十回、第2戦、阪神3勝、16日、甲子園)大粒の雨が黒土をぬらした。よみがえる8年前の悪夢-。ただ、あのときとは違う。虎には佐藤輝がいた。降雨中断もあった緊迫の2戦目。ほえた主砲が立ち込める暗雲を吹き飛ばした。
「よかったです。しっかり一球でいいバッティングできたと思います」
2-3で迎えた八回1死一、二塁。伊勢の初球をとらえた。鋭い打球が一、二塁間を破る。二走・近本が一気に同点のホームへかえってきた。劣勢をはね返す一打に、佐藤輝は塁上で雄たけびを上げた。一回1死二、三塁は左翼線際に先制の二塁打。四回先頭は右翼線へ二塁打。3安打2打点と完全に目覚めた。
五回表が終わったとき、上空に分厚い雨雲が垂れ込め、試合は47分間の中断を強いられた。雨が降る甲子園でのCS。思い出すのは2017年。相手はDeNA。当時も初戦をとって、2戦目は落とした。そして、そのまま3戦目に負け、日本一の夢を断たれた。
一回にはバットを折られながらも左前に落とし、先制打をマークした=甲子園球場(撮影・水島啓輔)虎党の脳裏によぎる8年前の悪夢。それでも、黄金時代を迎えた令和の虎は違う。15日の試合前練習後、佐藤輝はクラブハウスへとつながる通路で笑顔を見せていた。
「短期決戦のポイントですか? 自分自身、こういう舞台で結果を残しているわけではないので分からないですけど…」
過去4年間のCS通算成績は打率・163(43打数7安打)と芳しくないことは理解している。だからこそ、今年は考えを変えた。40発&102打点で、セ・リーグの本塁打王&打点王としての自負。4番としての責任。それに加えて「しっかり体も動かせて調整できたし、とにかく今は楽しんでやろうと思っていますよ」。純粋に野球を、このCSという舞台を楽しむことを忘れない。それが、日本シリーズへの最短ルートだと信じている。
「勝つつもりで、みんなやっていたので結果そうなってよかった。(森下のサヨナラ弾は)しびれましたね」
2年ぶりの日本一に立つまで-。セ・リーグの王者として、2冠として、どんな劣勢も悪夢も、そのバットで打ち砕く。(原田遼太郎)
★世紀の〝泥試合〟
2017年10月15日、CSファーストS第2戦、阪神-DeNA。第1戦で2位阪神が勝ち、阪神が勝利か引き分け、DeNAが勝利のみでファイナルS進出という状況だったため、降雨でも開催を強行した。約1時間遅れで秋山と今永の先発で試合開始。筒香が打席で尻もちをついてユニホームがドロドロになるなど、グラウンドは田んぼ状態だった。試合は4-4の七回にDeNAが桑原を攻略し、一挙6得点。九回にも3点を追加し、CS史上最多の21安打で13得点と圧勝。17日の第3戦もDeNAが6-1で勝利し、ファイナルSに進出した。