22年のCSで原口が激高した一コマ。この男の合流も待ち遠しい (JERA クライマックスシリーズ セ ファイナルステージ、阪神2-0DeNA、第1戦、阪神2勝、15日、甲子園)ようやく、この日はやってきた。
リーグ優勝を決めたのが9月7日。シーズン最終戦が10月2日。怒とうのように進行するメジャーのポストシーズンと比べたら、なんという進行速度だ。何でもアメリカのまねをする日本の野球が、この10月の戦いだけは全然変わろうとしないのは、なぜなんだろう。
まあ、ここで文句を並べても仕方がない。始まったら、そんな不満は吹っ飛んだ。最高すぎる「まず1勝」だった。
頂上決戦の日本シリーズの雰囲気も好きだが、CSには、独特の空気が漂う。「ここで負けたら、今までの苦労が水の泡」感は半端ない。切迫感はあるが、乗り越えて勝てば、こんな気持ちのいい日々はない。
昨年は2位でシーズンを終えて、この甲子園で3位DeNAに連敗した。無性に腹が立ったのを覚えている。担当記者でもそんな思いになるのだから、選手はもっと悔しい。
村上が粘り、勝利の方程式が機能し、森下が快打。負けたくない…。みんなの思いが結実した。
「CSといえば、原口のハーフスイングを思い出すんですよ」
当番デスク・長友孝輔が、今季限りでユニホームを脱ぐ男の、意外な一面が明らかになった記憶を明かしてくれた。苦労してきた時代のトラ番は、いい思い出のCSばかりではない。それは仕方がないこと。
2022年のファイナルステージ。阪神はヤクルトに挑んだ。第1戦の二回のこと。原口は〝ボール球だ! 四球だ!〟と確信して一塁ベースに向かって歩き出した。ことしの流行語(?)の1つ、確信歩き。ところが、一塁塁審がまさかのスイング判定。
「振ってない!」
あの原口が激高した。
「あの笑顔で優しいイメージが定着していますが、熱い一面を持ってる選手です」
長友が力説する。阪神の反撃ムードが一気にしぼんだシーンでもあった。そこからズルズル連敗。一つのハーフスイングで流れが遠のく。短期決戦ならではだ。
引退セレモニーで1つの区切りは終えた原口だが、日本一への戦闘要員として名を連ねる。長友は「最後の雄姿」がCSでも、さらに日本シリーズで、見られることを願っている。「最後」は一度である必要もない。
そんな会話の後、球場内でウロウロしていたら、CSの記憶には欠かせない人物に遭遇した。NPBの杵渕和秀セ・リーグ統括。こっちが話題に出すより先に、「またあの話ですか」と語りかけてきた。
2017年のファーストステージは、この日同様、阪神vsDeNA。雨中の激闘、と書けば今となっては美しいが、泥沼の中での死闘だった。
スイングして転んだ筒香はユニホームが泥まみれ。梅野がバントを決めたと思ったら、打球は泥の中にズボッ。止まってしまった。もはや野球とはいえない惨状。
試合後、報道陣は杵渕統括のもとに殺到した。
「まあ、忘れられない試合です」
苦笑いの〝当事者〟。あの時、ノーゲームの判断があったら、阪神はファイナルに勝ち進み…。
やめておこう。ことしは実力でサッサと勝ち抜くんで。えっ、16日は雨模様。〝あの日〟よりは降らない予報から大丈夫だろう。