最後の最後まで強烈なインパクトを残した。ヤクルト・村上宗隆内野手(25)は今オフ、ポスティングシステムを利用して米大リーグに挑戦することが確実。8年間プレーした日本での〝ラストイヤー〟は、わずか56試合でリーグ3位の22本塁打を放った。
上半身のコンディション不良の影響で2軍調整をしていた約3カ月。村上が驚異的な数字を残すことができた理由に触れた気がする。
リハビリ期間中は、埼玉・戸田球場で午前9時から練習があり、夜は比較的自由に行動できたため、ナイターゲームが行われている時間帯を有効活用していた。外食に出かけた際は、帰宅に30分以上かかっても徒歩で帰路についた。ただ、歩いていたのではない。全てを野球につなげていた。
「散歩をしていても『今』に集中する。『あそこにこんなものがある』『こんな良さそうなところがあるんだ』『こんな店があるんだ』と。過去のことを振り返ったり、未来のことを思っても今どうすることもできないし、それによって感情が動いていいことはない。過去のこと、未来のことではなく、今に集中する。今通った場所も過去になる。今に集中することで余計なことを考えなくなる」
とにかく「今」に集中していた。過去でもない。未来でもない。これが「マインドフルネス」という心の持ち方だ。「過去や未来にとらわれず、今の体験に意識を向け、ありのままを受け入れること」を目的としており、集中力の向上にもつながるとされる。
「野球にも生きる。打席では、過去の対戦や『ここで凡退したらどうしよう』と嫌な先のことを考える。それは全く意味のないこと。今に集中して、どんな感じの球を投げてきているのかな、とかを考える」
余計なことは考えず、「今に集中」することを繰り返した結果、短期間で本塁打を量産するという好結果につながった。「けがの功名」ではないかもしれないが、リハビリ期間があったからこそ、取り入れられたものだろう。メンタルや禅の本も手に取って読むなど、肉体の動きに制限がかかっていた中で、精神面には変化を加え、充実させていた。
来年からは、夢の舞台に立つ。どんな活躍を見せてくれるのか。たとえ、苦難を味わっても、村上であれば乗り越えられるはずだ。(赤尾裕希)