他球団を寄せ付けずに史上最速のリーグ優勝を成し遂げた阪神。新戦力も次々に台頭した中で、中川勇斗捕手(21)も今季大きく飛躍を遂げた一人だ。優勝セレモニーが終わり、ファンに手を振り球場を一周する際、野手最年少の未来の大砲が優勝トロフィーを掲げていた。
「先輩方に、重いからって持たされてました(笑)。優勝は経験できましたけど、貢献はできていないと思います。もっと中心で喜びたいな、と思う。だから今年は控えめにしました」
プロ入り初めての胴上げ、そしてビールかけにも参加。しかし、堂々と全力で喜ぶことはなかった。
高卒4年目となった今季から、打力を生かすために外野に挑戦した。藤川監督の目にも留まり、4月に初打席、5月に初安打を記録。8月にはプロ初本塁打もマークするなど、7月から1度もファームに降格することなく1軍で戦い抜いてきた。
第一線の舞台にも慣れてきた若虎だが、優勝が決まる一戦の緊張感は想像以上だった。
「試合前のシートノックが始まる前から人が多くて、歓声がすごかった。九回は空気感もすごくて、ドキドキしました。ベンチであんな緊張感を感じたのは初めて。4万人以上の人の思いが、グラウンドに向かって集まっているのをすごく感じました」
9月7日の試合は出場機会なしとなり、1試合通してベンチから戦況を見つめた。リーグの頂点をつかみ切った頼もしい先輩のプレーを見ながら、強く感じた思いもあった。
「次はその瞬間に、グラウンドに立ちたいですね」
リーグ優勝が決まってもなお1軍に食らいつき、存在感を発揮し続けている。次にもう一度歓喜を迎えるなら、日本一の瞬間だ。そのとき、もっと堂々と輪に加わるために、中川のアピールは続いていく。(中屋友那)