未来の自分は、あの輪の中にいる-。嶋村麟士朗捕手(22)が、2年ぶり7度目のリーグ優勝の瞬間を、その目に強く焼き付けた。石井、ドリスらが藤川監督を胴上げ。古巣の先輩たちが歓喜の中心に立つ姿に大きな刺激を受けた。
「自分のことで精いっぱいですけど、あの場にいたいなと。自分もやればできるんじゃないかなと思いましたね」
今季、四国IL・高知から育成2位で阪神に入団。ここまで55試合に出場して打率・269、1本塁打、21打点。チーム最多の49試合でマスクをかぶり、7月に行われたフレッシュオールスターにも出場した。経験を積みながら、未来の正捕手に向けて着実に成長を遂げている。
今季の阪神は藤川監督が率い、石井は48試合連続無失点で世界記録を更新中。さらにシーズン途中に加入したドリスも右のリリーバーとして役割を果たし、V戦士として名を刻んだ。いずれも嶋村が昨年まで在籍した四国IL・高知のOBたちだ。嶋村は1軍で主力として活躍する先輩たちとのタッグを熱望。「高知県の皆さんが喜んでくれると思うので。早く1軍に行ってバッテリーを組めたらいいですね」と憧れの舞台を思い描く。
独立リーグ時代は、徳島まで片道3時間の遠征も日帰り。オフにはアルバイトで生計を立てた。石井も経験したように、在籍する選手のほとんどが「ショウガ掘り」で汗を流したのに対し、嶋村は球団スポンサーの木材会社で掃除や運搬に従事。「応援してくれている人がバイトを紹介してくれて、楽しく働くことができました。その人たちのためにも、もっと新聞に載れるように、1軍で活躍できるように頑張りたい」と誓う。
まずは2桁の背番号を目標に、課題に向き合う日々を送る。阪神の正捕手・坂本の映像を繰り返し見て、捕球技術を研究中だ。「視線を低くして、ピッチャーのボールを見ている。だからその分、低めの球を上げやすく、(球審に)ストライクと言ってもらえているところがあると思う。自分はまだ高い時があるので、練習している最中です」。持ち味の力強いスイングを生かすためにも、守備力を磨いてアピールする。
「早ければ今年のオフに支配下をつかみ取りたいなと思います」
レギュラー陣の壁は厚い。それでも、3桁の背番号からはい上がり、1軍捕手陣に戦いを挑む覚悟がある。(萩原翔)
■嶋村 麟士朗(しまむら・りんしろう) 2003(平成15年)年7月13日生まれ、22歳。高知市出身。高知商高を卒業をしたのち福井工大を中退し、22年に四国IL高知に入団。捕手とDHで23年から2年連続ベストナインに輝き、24年はリーグ3位の打率・350をマークした。25年育成ドラフト2位で阪神入団。今季ウエスタン・リーグで55試合出場、打率・269、1本塁打、21打点。177センチ、90キロ。右投げ左打ち。年俸300万円。背番号「128」