お立ち台で涙ぐむDeNA・度会隆輝=15日、横浜スタジアム 思わず目に浮かんだ涙は、これまでの苦悩を物語った。横浜スタジアムで今季初のお立ち台に上がったDeNA・度会隆輝外野手(22)は「感無量というか、またこの景色を見られて幸せ」と声を詰まらせた。
9月15日の巨人戦。2-0の七回に初球を捉えた当たりは、鮮やかな放物線を描いて右翼席に飛び込む2試合連発の6号ソロとなった。昨季の開幕戦でマークしたプロ1号を想起させる弾道で勝利に貢献し、久しぶりに受けたヒーローインタビューで感極まった。
2年目の今季は、デビューから2戦連発を放った1年前と対照的な幕開けだった。上半身のコンディション不良で出遅れて2軍スタート。けがを理由にプレーしたくてもできない経験は、キャリアでほとんどなかった。リハビリ期間は食事がのどを通らず、底抜けに明るい性格にして「『俺、おかしいわ』と。苦しかった」と振り返る。
4月上旬に戦列に加わり、持ち前の打力を発揮したシーズン序盤こそ主に3番で起用されたが、レギュラー定着には至らなかった。調子を落とした7月下旬に2軍での再調整を命じられ、自身を見つめ直した。
2軍の首脳陣に求められたのが長打力だった。イースタン・リーグでは、巧みなバットコントロールで安打を量産。一方で1年目の初めに1軍で見せた豪快な一発も魅力なだけに、小さくまとまらぬよう発破をかけられた。
左方向へ本塁打を放つDeNA・度会隆輝=14日、横浜スタジアム練習では重心を落として下半身主導を意識づけるため、重さ約10キロのベストを羽織ってバットを振った。8月末の1軍昇格後は代打での出場が多く、一球にかける集中力が増した。「積極的に振りいくのもそうだけど、見極めるところは見極める。打席での落ち着きは大事」と自らに言い聞かせる。
自力で道をこじ開けなければならず、言葉の端々に危機感がにじむ。打線の中軸を担う佐野らを例に出し「主軸で活躍している先輩方は代打で打って、スタメンになって、一流になっている。本当にチャンスをものにしないと」と必死だ。
懸命な取り組みが結実したのが、お立ち台に上がった前夜に放った自身初の代打本塁打だった。外角のスライダーを左翼ポール際へ。通算8本塁打目で初めて逆方向にほうり込んだ。「あんまりほめない。もっともっと、やってもらわないと困る選手。まだまだです」と三浦監督。その言葉が大きな期待の裏返しであることは言うまでもない。(鈴木智紘)