ソフトバンクで15年目の32歳ながら、今季また一つ殻を突き破ったのが、牧原大成内野手だ。8月の月間MVPを受賞した。
「僕自身、月間MVP初めて。もうずっと取れることなく終わるんだろうなと思っていたので、素直にうれしいです」
8月はリーグトップの37安打を放って月間打率・385、3本塁打、打点18と文句なしの成績。「一試合一試合、勝ちたいという気持ちで必死にプレーした結果と思う。打点は前の打者、みんながつないでくれた結果。チームメートに感謝したい」と謙虚に語った。
昨季との大きな違いが、その時々のチーム状況に応じて内外野をこなしていることだ。昨季は小久保監督とも話し合いながら「二塁手一本で勝負させてください」と自ら申し出て出場78試合中67試合で先発した。しかし今季はシーズンに入る前に「何かあればどこでも守ります」と首脳陣に伝え、ユーティリティープレーヤーとして貢献する道を選択。チームは柳田が春先に長期離脱したほか、近藤は左脇腹を痛めるなどして欠場がちとなった。そのたびに牧原大が中堅や左翼、右翼のポジションで応急的に起用される試合も増え、外野守備も高いレベルでそつなくやってのけている。
結果的に、チーム試合数が128試合となった14日終了時点で109試合に出場。そのうちスタメン出場は96試合と昨季に比べ大きく活躍の幅を広げた。
現在規定打席に未到達ながら打率・306。パ・リーグ首位打者争いのトップは楽天・村林の・299だけに、残り試合で15年目で初めての規定打席到達がかなえば、初のタイトル獲得も決して夢ではないところにいる。14日終了時点で380打席。143試合制での1シーズンの規定打席443だから、15日のオリックス戦(京セラドーム)から最終戦までの15試合で63打席立つ必要がある。残り全試合に出て1試合4打席ずつ立っても少し足りない微妙な位置だ。
「規定打席に到達したことがないのでもちろんしたい気持ちはある。でも1試合でもけが(で欠場)してしまったら無理なところなので。最後までけがせず走り抜けて、その結果、規定打席に届いてくれれば、というぐらい。最悪、規定打席に届かなくてもチームが優勝してくれればそれでいい。一年間けがしないということが目標だったので、規定打席に届けばそれはご褒美だというふうに思いたい」と淡い希望として胸にしまっている。
小久保監督も、チームを支えている牧原大の貢献度の大きさを何度もたたえてきたが、個人的な事情を勘案して打席の回ってきやすい1、2番で起用することについては「優勝のために打線を組むので上位(での起用)じゃない時もある」と冷静な判断をしていく姿勢だ。「(プロ野球)初の認定首位打者でも、それはいいのではないですか」と、規定の数に足りない打席分をすべてアウトとして打率を算出してのタイトル獲得の希望もみている。いずれにしても牧原大にとって最後まで話題性たっぷりのシーズンとなるのは確かだ。(上阪正人)