快挙から1週間―。7月に支配下登録された阪神の育成ドラフト3位・早川太貴投手(25)が8月27日のDeNA戦(横浜)でプロ初先発し初勝利を挙げた。育成入団の投手が先発するのも、育成入団の新人が勝利投手となるのも球団初だ。記録づくめの1勝となったが、浮かれるそぶりを見せることはなく、反省ばかりを並べた。
阪神・西勇輝「勝てはしたが、真っすぐも全然だめで、内容が悪く、ファームでやってきたことができなかった。ああいう緊張感のある場所でも、しっかり投げられるようにならないといけない」
DeNA打線を相手に5回2安打無失点。堂々のデビューに映ったが早川の見据える先は高い。
そんなストイックなルーキーに、大先輩から粋な贈り物が届いた。現在2軍調整中の西勇が、初勝利祝いに高級ブランド「エルメス」の財布をプレゼント。早川は9月1日に、自身のインスタグラムに写真を添え「西さんから初勝利祝いいただきました! ありがとうございます! 一生大切にします!」(原文ママ)と投稿した。プロ17年目を迎えるベテラン右腕への思いを早川に聞いてみた。
「僕にとってはレジェンドというか、雲の上の存在として、入団したての頃は近寄りがたいところはあったんですけど。西さんの方から気さくに話しかけてくれました。本当に感謝しかないです」
西勇は今季、右膝の内側側副靱帯(じんたい)の変性により、4月12日の中日戦(甲子園)で黒星を喫して以降、ファームで調整を続けている。オリックス、阪神でNPB通算124勝を挙げている背番号16は、早川に限らず、1軍入りを目指す多くの若虎にとってお手本のような存在だ。
「入団したてで関わりも長くないのに、いいピッチングをしたときには、少し大げさかもしれないですけど、自分のことのようにすごく喜んでくれる」
贈られたのは財布だけではない。日々のキャッチボールを通じて、技術面、精神面にわたる心得を授かってきた。「長く経験されているからこそわかる話をしてくださる。マウンドで困ったときも『あ、西さんはこう言ってたな』と思い出して落ち着ける」と心の支えになっている。
偉大な先輩の教えと感謝を胸に、そして、いずれはその大きな背中を超えるために、まずは1軍定着を目指す。背番号31は一歩ずつ、着実に突き進んでいく。(秋葉元)
■早川 太貴(はやかわ・だいき) 1999(平成11)年12月18日生まれ、25歳。北海道江別市出身。北海道大麻高から小樽商大を経て北広島市役所に就職し、クラブチームのウイン北広島に入部。24年にくふうハヤテ入り。25年に育成D3位で阪神入団。今季はウエスタン16試合登板、8勝1敗、防御率2・82。1軍では2試合登板、1勝0敗、防御率0・00。年俸420万円。185センチ、96キロ。右投げ右打ち。背番号「31」