阪神新人選手入団発表で金本知憲監督(左)と大山悠輔(2016年12月5日撮影) プロ野球は後半戦がスタートした。セ・リーグ首位を独走している阪神にアマチュア球界からスカウティング能力の高さと育成手腕を評価する声が挙がっている。
「ある大学の監督さんからも、ドラフト上位の野手がみんな戦力になっているのは素晴らしいといってくれる。そう言われるとうれしくなるし、より頑張ろうという気持ちになる」
ある若手スカウトは、最後に笑いながら「逆指名制度(1997年~2007年)があればもっといいですけど。今は違いますからね」と付け加えた。
近本、森下、佐藤輝、大山はドラフト1位。中野(同6位)、坂本(同2位)。遊撃の定位置をつかむ勢いの小幡は延岡学園高(宮崎)から2019年同2位で入団。「阪神は高校生野手を育てられない」というレッテルを剥がそうとしている。
阪神GM時代の中村勝広さん(2015年6月8日撮影)過去にはドラフト上位で期待されながら1軍戦力にならない、という時期が続いたことも。とくに野手は壊滅的だった。1990年代の低迷時代には「阪神だけにはいきたくない」というドラフト候補生もいたが、すべて過去の話だ。
竹内球団副本部長は「(評価されるのは)ありがたいことです。キッカケとなったのは、僕は中村勝広さんがGMのときだと思う。現場とスカウトの橋渡しをやっていただき、一体となって若い選手の発掘や育成をしていく形が生まれた」と明かした。
元監督の中村氏は2012年にゼネラルマネジャー(GM)就任し、在職中の15年に他界。「生え抜きでスタメンを作る」を目標に掲げた。その意志を受け継ぎ、第一歩となったのは17年にドラフト1位指名した大山だった。当時の金本知憲監督が「潜在能力がある。大砲候補の右打者は取るべき」と当初は投手を指名する予定だったフロントに直訴。その主張が認められた。
当時、中日の編成首脳だった球界関係者は「阪神が大山君を1位指名したときは驚いた。野手は投手のレベルが変われば打てないことが多い。大山君が活躍して、阪神は野手を積極的に指名するようになった」と分析する。安全パイの投手中心から潜在能力を期待して野手を上位で指名するようになったのも大山の存在が大きい、というわけだ。
今年6月下旬に甲子園で行われたイベントに出席した金本氏は「いまの形を(監督時代の)僕は目指していたから」と生え抜きの日本選手が主軸に並ぶスタメンに感慨深げだった。今年のドラフト会議は日本シリーズ前の10月20日。阪神に指名されて心の底から喜ぶ選手の姿が目に浮かぶ。(三木建次)