延長十回にサヨナラ打を放った林。両手を広げ、全身で喜びを表現した(撮影・加藤圭祐) DeNAは9日、広島7回戦(横浜)に延長十回の末、4-3で今季初のサヨナラ勝ちを収めた。八回に代走で途中出場した林琢真内野手(24)が、十回に自身初のサヨナラ打となる適時二塁打で試合を決めた。足と守備を売りとする3年目の伏兵。家族が見守る前でチームを勝利に導き、大観衆の前で男泣きした。
延長10回、サヨナラ勝利をおさめ喜ぶDeNAの選手ら=横浜スタジアム(撮影・加藤圭祐)喝采を浴びたお立ち台で、人目をはばからず涙した。三塁側の内野席では、母方の祖父母、今年結婚した愛妻ら家族が見つめていた。試合を決めた林は、声を震わせながら切り出した。
「ばあちゃんは足が悪いので、見に来るのが最後かもしれないと言われて…。打ててよかった」
勝利の女神に見初められた夜だった。土壇場で追いついて突入した延長十回の三塁守備。2死二塁で坂倉が放った飛球を、三塁側カメラマン席に体を投げ出しながら好捕した。「あまり覚えていない」というほど必死なプレーでチームを救った。
その裏の攻撃。先頭の松尾が二塁打を放ったが、続く代打の柴田がバントを失敗した。1死二塁で打席を迎えた林は「柴田さんのミスをカバーしたい」とバットに気持ちを乗せた。速球を左中間へ運ぶ劇的な適時二塁打。高々と拳を上げたヒーローは、歓喜の水しぶきが舞う輪の中心でもみくちゃにされた。
特別な試合だった。愛知県から駆け付けた母方の祖父からは、昨年末に何枚ものA4用紙にまとまった資料で打撃の改善点を提案された。野球経験はないが、打席に入る前の素振りや打球方向について独自の視点で助言を送ってくれた。
ヒーローインタビューで亡くなったお祖父さんのことを話し、涙ぐむDeNA・林琢真=横浜スタジアム(撮影・荒木孝雄)原動力は一つにとどまらない。ヒーローインタビューでは、父方の祖父が今年初めに病で他界したことも告白した。こちらは野球経験者で、幼少期にキャッチボールを教えてくれた。「そのじいちゃんのためにも今年は絶対にやってやろうという気持ち」と大観衆の前で誓った。
守備固めや代走での出場が多い3年目の24歳。二塁、三塁、遊撃を守るユーティリティープレーヤーは、結果を残そうと死に物狂いだ。三浦監督は「がむしゃらな気持ちでプレーしている。それが結果に表れた」と目を細めた。勝率5割復帰に貢献した立役者は「毎試合命がけで根性を出してやる。僕一人の野球人生じゃない」と並々ならぬ覚悟を示した。(鈴木智紘)