右手人さし指を掲げて仲間を迎える坂本(中央)=東京ドーム(撮影・萩原悠久人) 千両役者が帰ってきた!! 巨人は7日、阪神9回戦に6―4で勝利。東京ドームでの同カードは今季6戦目で初勝利を挙げ、阪神と同率首位に浮上した。打撃不振のため2軍で調整していた坂本勇人内野手(36)が、左肘の靱帯損傷で出場選手登録を外れた岡本和真内野手(28)に代わって緊急昇格し、四回に決勝の適時二塁打を放った。百戦錬磨のベテランが、主砲が不在となったチームの救世主になる。
4回、適時二塁打を放つ巨人・坂本勇人 =東京ドーム(撮影・萩原悠久人)坂本は、多くのファンが自身のタオルを掲げる中、勝利のあいさつを行った(撮影・今野顕)頼りにされるほどに燃える。2軍から緊急昇格した坂本は2-2の四回2死一塁、門別の外角スライダーに泳がされながら、左翼線へ決勝の適時二塁打を運んだ。お立ち台では日に焼けた肌がスポットライトに照らされ、ホッとしたような表情を浮かべた。
「あまりきれいなヒットでもないですし、まだまだかなと思うんですけど、僕らしいレフト線のツーベースだった。もっと打てるようにやっていきます」
ピンチのチームを鼓舞する復活の一打だった。主砲、岡本が6日の阪神戦の一回、一塁守備で打者走者と交錯。この日に左肘の靱帯損傷と診断され、復帰まで3カ月程度を要する非常事態に、坂本は1軍から招集がかかった。即「7番・三塁」で先発出場。「和真の代わりにはなれないけど、精いっぱいやる」。打撃は万全とはいえなかったが、岡本からも連絡を受けて覚悟を決めた。
プロ19年目の今季は開幕前から不振にあえぎ、この日に二塁打を放つまでオープン戦、2軍戦も含めて長打が一本もなかった。打率・129と不振の中にいた4月14日、「客観的に見ても、自分が打席に立っていい状態じゃない」と判断し、阿部監督に2軍での調整を直訴した。
現役最多の2420安打を誇る36歳。本来の打撃を取り戻すために構え、スタンス、バット、練習法と変化の必要性を探った。打席でのスタンスを狭めて体のひねりをスムーズにする構えを試し、外角球を捉えるために『ホームベースに近寄る』という阿部監督の助言に従った。シーズン中は行わないウエートトレーニングに時間を割くなど、長年のルーティンにもこだわらなかった。長く愛用する野球用品メーカー「SSK」のバットのほか、今季はマルチ、2軍調整中は大谷翔平も愛用するチャンドラーのバットも試した。
坂本の執念で、チームは今季、東京ドームの阪神戦6試合目にして初勝利。再び阪神と首位に並んだ。阿部監督は「試行錯誤しながらやっているんでしょうけど、この1軍でのヒットが、すごくいい薬になる」と今後に期待。岡本の無念を背負う坂本が、ここから本領を発揮する。(谷川直之)