七回、初登板に臨んだ佐藤蓮。力みなぎる投球を披露した(撮影・林俊志) (セ・リーグ、阪神0-2DeNA、24回戦、阪神12勝11敗1分、30日、甲子園)苦難の日々を乗り越えてたどり着いたマウンドから見る景色は、想像以上に輝いていた。佐藤蓮、川原がついに迎えた1軍デビュー。第一歩はそろって無失点で飾った。
「目の前のアウト、ストライクを取る、しっかりと自分のボールを投げる、というところだけ考えてマウンドにいたので、あまりほかのことは考えられませんでした」
0―2の七回に登板した大卒4年目右腕・佐藤蓮は緊張し、初球は代打・東妻の胸元に大きくそれた。ただ、磨いてきた直球で押すなどして最初のアウトを遊ゴロで奪うと、梶原は空振り三振。同学年の牧も遊ゴロに抑え「しっかりとゾーンに投げればアウトを取れるという自信は、少しはついたかな」と胸を張れるデビュー戦だった。
八回、プロ初の1軍マウンドに上がった川原。無失点で一歩目を刻んだ続いて八回に登板した6年目左腕・川原は中軸との激突でも気持ちで引かず、まずは佐野を1球で左飛に料理した。その後は四球と安打で2死一、二塁とされたものの、最後は桑原から内角へのクロスファイアで見逃し三振を奪い、ピンチを脱出。「(デビューまで)すごく時間がかかったと思うけど、きょう投げられた。全部これのためなのかなと思った」と感慨にふけった。
上々発進の2人に岡田監督も目を細めた。「(ポストシーズンでは)まだ使えへんけど、まだ投げるチャンスがあれば横浜(3日、DeNA戦)でも投げさせるよ」とレギュラーシーズン中は帯同させる方針だ。
「横浜であと1試合あると思うので、『行くぞ』と言われたときにまたしっかりと抑えられるようにしたい」と佐藤蓮は気合十分だ。故障などを経験し、支配下でのプロ入り→育成契約→2桁背番号返り咲きという共通点を持つ両腕にとって、視界が明るく開ける一日となった。(須藤佳裕)
★その時
川原の母・えりかさん(45)は甲子園のスタンドで初登板を見守った。前日に1軍合流の連絡を受け、長崎市の実家からこの日の早朝の飛行機で来阪。1回無失点の好投を見届け「心臓が飛び出るとかじゃなくて心臓止まっとった状態でした(笑)。来てよかったです」と胸をなでた。息子が甲子園のマウンドに立つ姿を見るのは創成館高3年夏以来。「次もチャンスがあったら頑張ってほしい」と笑顔でエールを送った。
■佐藤 蓮(さとう・れん) 1998(平成10)年4月11日生まれ、26歳。静岡県出身。飛龍高、上武大を経て2021年D3位で阪神入団。1軍登板なし。22年オフに育成契約となり、今年7月に支配下に復帰。今季2軍では49試合登板、2勝0敗3セーブ、防御率2・03。右投げ右打ち、189センチ、103キロ。年俸500万円。背番号「98」
■川原 陸(かわはら・りく) 2000(平成12)年12月12日生まれ、23歳。長崎市出身。創世館高から19年D5位で阪神入団。1軍登板なし。故障に苦しみ、21年12月から育成契約。今年7月に支配下に復帰。今季2軍では50試合登板、2勝1敗1セーブ、防御率1・62。左投げ左打ち。186センチ、89キロ。年俸420万円。背番号「92」