連覇が消えた28日のヤクルト戦後、「オカダコール」に応えた阪神・岡田彰布監督 「あわよくば」で試合を落とし、連覇の夢は潰えた。阪神・岡田彰布監督が嫌っていた采配に、自身が足を踏み入れた。結果は凶。典型的な自滅で千載一遇のチャンスを逃した。それがジェレミー・ビーズリー、村上頌樹の中継ぎ起用だ。投手王国にも適材適所は必要。「餅は餅屋」だ。先発と中継ぎの二刀流で、目の前の白星とブルペン陣休養の二兎を追って、2試合とも黒星を喫した。禁じ手失敗が、例えば矢野燿大前監督や金本知憲元監督だったら…現虎将に不満の声があがらないから不思議だ。
27日の広島戦(マツダ)は九回1死満塁の勝ち越し機で代打・梅野隆太郎、近本光司が空振り三振。延長十一回1死二塁では代打・井上広大のバットが空を切り、梅野は見逃しの三球三振。原口文仁を出さず、その裏に送った村上頌樹が、2イニング目の十二回に大山悠輔の失策からサヨナラ打を浴びた。2023年4月1日のDeNA戦(京セラ)以来の救援に待っていたのは悔し涙だった。
20日のDeNA戦(横浜)では1点ビハインドの六回に登場したビーズリーが無失点に抑えた。反撃態勢を整えたのも束の間、七回は先頭打者への四球から3点を失った。15日のヤクルト戦(甲子園)で6回97球で8勝目を挙げてから中4日。中継ぎ経験はあるが酷な登板だった。
12球団随一のブルペン陣。両リーグ最多の70試合登板の桐敷拓馬は17戦連続無失点。岩崎優は「12」、石井大智は「14」でゲラは「9」。4人がゼロを並べる勝利の方程式を持ちながら「余剰先発」をブルペンに配置する必要があったのか。結果論だが、ビーズリーと村上の「回またぎ失点」を目の当たりにすると、疑問が浮かぶ。
打線では得点圏打率でDeNAのタイラー・オースティンにトップを譲ったが近本、大山、佐藤輝明、森下翔太が高い数字を誇る。近本は最多安打と盗塁王の2冠が視野に入る。打線は4人。投手陣は13勝3敗の才木浩人を含めて5人。「9本柱」を擁しながら勝てなかった。
巨人にあって、阪神にないモノは? すぐには浮かばない。チームの打率、防御率に大差はない。得点は阪神の方が上。ただ失点は巨人の「379」に対して「417」。その差は「G57ーT84」の失策数。佐藤輝の両リーグワーストの23失策が示すように守備力の差か。岡田監督が指摘した無死二塁からの二ゴロで進塁させる状況バッティングの違いか。明らかに劣っている部分は見当たらない。力負けした感もない。不可解V逸だ。
「やっぱり、甲子園の2戦目(0ー1で敗れた23日の巨人との25回戦)やな。あそこのゲームやな。今年を象徴してるような負け方やったもんな」「打てんかったことや、前半の。チグハグもな。いっぱいあるよ、エラーにしても」
これが敗軍の将の弁。結局、連覇が消えた試合の敗戦投手は先発復帰のビーズリーだった。29日時点で巨人76勝、阪神73勝。〝アノ2敗〟がなかったら…〝アノ2試合〟を勝っていたら…。〝アノ2人〟の痛打は専門4人衆の底力の証明でもあるが、あまりにも痛い代償だった。
もう少し勝てた。もう少しで優勝できた。2リーグ後、初の「1位阪神ー2位巨人」は、またお預け。優勝チームより多い得点数。普通なら采配に厳しい目が向けられるが、無風だ。連覇を逃した後、神宮の虎党から「オカダコール」の追い風すら吹いた。日本一の実績が雑音と疑いの視線までも封じる。岡田監督は余人をもって代えがたい指揮官ーゆるぎない事実をも示した歴史的終戦だった。
■稲見 誠(いなみ まこと) 1963年、大阪・東大阪市生まれ。89年に大阪サンスポに入社。大相撲などアマチュアスポーツを担当し、2001年から阪神キャップ。03年、18年ぶりのリーグ優勝を経験した。現在は大阪サンケイスポーツ企画委員。