ザナックス社のグラブと阪神・湯浅京己(ザナックス社提供) 「侍」として堂々とマウンドに立つ姿を、万感の思いで見ている人がいる。野球用具メーカー、ザナックス社の丸井悠平さんだ。テレビ画面越しの視線の先で腕を振っているのは、湯浅京己投手(阪神)。その左手に着けているのは自社のグラブだ。
「やっぱりうれしい気持ちが一番。高校のときからずっと、いろんな困難を乗り越えてきているんで、野球ができる喜びを表現できるのが京己の強みかなと思う。それはタイガースでも十分に発揮しているけど、日本代表でも同じようにその喜びを感じることができるので、見ていてこっちもうれしいというか、その喜びに共感できるんです」
丸井さんはもちろん、社を挙げて応援している。なんせ今年からはアドバイザーに就任したのだから、より熱が入る。ザナックス社の顔、希望の星だ。アドバイザリー契約の件など、丸井さんにはいち早く知らせていただきながら、諸般の事情でご紹介が遅くなって申し訳ない。今回、丸井さんの思いも含め、たっぷりと紹介させていただこう。
そもそも湯浅投手がザナックス社の用具を使い始めたのは2人が同郷(三重県)であり、丸井さんが湯浅投手の父・栄一さんの後輩(三重高)であることがきっかけだった。さらに丸井さんは営業先のスポーツ店で「京己の親父とは高校時代にバッテリーを組んでいた」というスタッフに出会うなど、さまざまなところでつながりがあり、ご縁を感じずにはいられなかった。
そこで湯浅投手が2年目を迎えるときに「人間的には間違いない選手なので、サポートしたい」と社長に申し出て、用具提供をするようになった。ただ、メーカーさんも商売である。用具提供という、かなりの額の〝投資〟をするからには費用対効果も考えなければならない。丸井さんは「まず僕が見るのは人間的なところ」という。
「野球だけうまいのではなく、ザナックスのブランドを一緒に広めていきたいと本気で思ってもらえるかとか、感謝の気持ちを持っているかとか、そういう人間性を大事にしています。彼らの野球人生がちょっとでもいい方向に向かうよう、僕らも本気で向き合いたいから。そうじゃないとフィットする用具はできない。野球用具って細かいし、一番大事なグラブやスパイクって革製品なんで、彼らが求めるものにアジャストさせるためには、気持ちが入らないと」