ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がついに幕を開けた。多くの注目を集める大谷翔平(エンゼルス)は大会前から大暴れ。1974日ぶりの日本でのプレーとなった阪神との強化試合(6日、京セラ)では3ラン2発を放った。
描かれた放物線に度肝を抜かれたのはグラウンドにいた選手も例外ではない。左翼で出場していた虎の若きスラッガー・井上広大外野手(21)は「寮に帰って何度も見返しました。何回でも見られるようなホームランといいますか、どうしてあの打ち方であそこまで飛ぶんやろうみたいな…」と苦笑い。何度と映像を確認しても、衝撃のスイングに理解は追いつかなかった。
侍ジャパン・大谷翔平は3月6日、阪神との強化試合で3回に3ランを放つその当日、井上の視線は「OHTANI」にクギヅケだった。「投打二刀流」で海の向こうを沸かせているすごさは知っていても、同じグラウンドに立つのは初めて。一挙手一投足にその目をこらし、大アーチ以外からもすごさを感じた。
「ちょっとの時間でもファンの方にサービスされていた。そういったところがすごい」
阪神との強化試合の試合前、観客にサインする侍ジャパン・大谷翔平試合前の大谷は自らフィールドシートの方向へ歩を進め、ファンが差し出す色紙やボールにペンを走らせた。どれだけ超一流に上り詰めてもファンを大切にし、あこがれる存在であり続ける姿がカッコいい。「ベースランニングをしているときも、本当に野球をめちゃくちゃ楽しんでいる。自分も楽しんでいる方だとは思うけど、何か違うなというのを感じた」。プレーや表情、目配りに振る舞いと、どの瞬間を切り取っても輝いてみえる。記憶をたどる井上の表情はまるで野球少年のようだった。
「ああいった選手が目標といいますか、野球界のトップの方だと思うので、刺激といったら変な言い方になりますけど、あそこまでいきたい」
同じ空間で同じ時間を過ごし、その姿を見上げつつも、未来の自分に重ねたくなった。今季は飛躍を誓う4年目シーズン。春季キャンプ中の実戦で3本塁打と打棒を見せつけ、オープン戦でもアーチを重ね、アピールを続けている。大きく掲げた夢の扉は、甲子園に何本もの〝ビッグフライ〟を打ち上げた先にある。(須藤佳裕)