完封勝利を決めた直後、打者に背を向けガッツポーズのヤクルト・高橋=21日、京セラドーム大阪(撮影・松永渉平) 走者を背負いながらも抑えた高橋奎二と、六回1死まで完全投球を見せた宮城大弥。両軍左腕が投手戦を演じた21日の日本シリーズ第2戦を、松坂大輔氏(41)は「日本一を決めるのに、ふさわしい投げ合い」と評した。八回に0-0の均衡が崩れ、高橋が投げ勝つことになった要因とは。松坂氏は、その投球内容に着目した。
2試合連続で見応えのある投手戦だった。高橋君、宮城君による日本一を決めるのにふさわしい投げ合いだった。
六回1死まで完全投球の宮城君と、プロ初完封を飾った高橋君。投手戦で勝敗の分かれ目となったのは、高橋君の投球内容にあったともいえる。
五回までは毎回走者を出し、うち3度が先頭打者。オリックスにすれば点が入りそうで入らない状況だ。投手心理的には厳しい展開。完全投球を続けていた宮城君にとっては、高橋君の頑張りはよりプレッシャーとなり、メンタル面で何らかの影響があったかもしれない。オリックスの打者も、逆に嫌な流れを感じていたはずだ。
その中でも、宮城君の2年目と思えないほど落ち着いた姿は印象に残った。第1戦に投げた同じ20歳のヤクルト・奥川君は一回にピンチを迎え、ややバタついたが、宮城君は一回を15球で終え、まるで経験豊富な投手のような立ち上がりを見せた。
いいリズム、いいテンポ、いい表情。大舞台で普段通り投げられる精神力は末恐ろしい。投球プレートの使い方を変える工夫もしていた。
援護なく負け投手となったが十分すぎる内容だったオリックス・宮城=21日、京セラドーム大阪(撮影・今野顕)修正能力の高さにも驚かされた。六回1死で西浦君に中前打を許して走者を背負うと、少し投げ急ぐようなテンポになり、次打者にも安打を浴びてピンチを迎えた。しかし、そこから捕手の伏見君の要求に応え、カーブで打者のタイミングを外した。普通の投手ならズルズルいくところ。八回に1失点したが、十分すぎる投球内容だった。
一方で高橋君は中盤まで苦しい展開だったものの、尻上がりに投球が洗練されていった。対戦した32人の打者に対し2四球。3ボールが6度あったが、不利なカウントになっても簡単に歩かせず、カウントを整えて打ち取っていた。1年で何回できるか分からない投球を大舞台でやってのけた24歳に、チームは勇気づけられたはずだ。
ただ、投手目線で言わせてもらうと、さらに良くなる部分もある。高橋君は、早いカウントから直球やチェンジアップを厳しいコースに投げていた。最初からきわどいコースでストライクを稼ぐと、打者の目はそのコースに向き、さらに厳しいコースを狙う必要が出てくる。バッテリーの意識も窮屈になり、実際に甘く入った球を痛打される場面があった。