試合後セレモニーで挨拶する阪神・矢野燿大監督(中央)=2021年10月26日、甲子園球場(代表撮影) 今月、保育園に通う3歳と4歳の娘2人が、そろって人生初の運動会に臨んだ。優勝争いの取材の佳境を迎えていたため見に行くことはできなかったが、かけっこは随分と前から練習を繰り返していたようで、ある夜、眠る前には2人でこんなことを話し合っていた。
長女「○○ちゃん、かけっこは ころんでもさいごまではしるんだよ!」
次女「うん、わかった!」
なんてイイことを言うんだ、(先生に教わったまま言っているんだろうけど)まるで人生訓じゃないか、とわが娘ながら感心してしまった。うまく行っているときは誰だって走ることができる。人としての〝あり方〟が問われるのは、たしかに「転んだときどうするか」だなと、2人の無邪気な会話から気づかされた。
阪神も、転んでしまったのかもしれない。春には開幕から20試合を16勝4敗という猛烈なスタートダッシュを決め、夏には2位に最大7ゲーム差をつけていたが、実りの秋はついに訪れなかった。ヤクルトに逆転優勝を許し、目指した16年ぶりの優勝は夢と消えた。1等賞は獲れなかったが、ここでがっくりと来て全員の気持ちがバラバラになってしまうようなら、それは矢野監督が目指す野球ではない。むしろここから立ち上がる姿こそが、最も見せたいものであるはずだ。
運動会当日のビデオを見せてもらうと、2人なりに頑張って走ったり踊ったりしていた。転びはしなかったが、長女はぶつかりそうになったお友達に先を譲ってしまい、4人のうち4番目にゴールテープを切っていた。
それもまた人生だが、そこは野球では同じではない。一歩も引けない短期決戦に入る。阪神には立ち上がり、ぶつかってでも押し倒してでも、絶対に日本一を譲らないんだという気持ちを見せてほしい。(長友孝輔)