泣いても笑っても、残り3試合。矢野監督は全員の力を結集することを約束した 21日の中日戦(甲子園)で走塁中に右太もも裏に強い張りを訴えて病院へ直行した阪神・近本光司外野手(26)は22日、出場選手登録の抹消はされなかった。23、24日の広島2連戦(マツダ)へ向け広島入りした矢野燿大監督(52)は、総力戦で突き進むことを改めて宣言。最大の試練を抱えての残り3戦となるが、ここからが誰もあきらめない矢野野球の真価の見せどころだ。
その名前が消えれば、希望の灯も見えなくなってしまうところだった。だが「近本光司」という4文字は1軍の登録メンバーに残った。ここまで来て苦しくない選手など誰一人いない。それでも全員で、全身全霊で行くと、矢野監督は宣言した。
「総力戦で、残り試合全部勝つしかないんで。まずは広島の初戦にね、全員で行くというところですね」
神宮でのヤクルト-広島が雨天中止となり、燕の優勝へのマジックナンバー「3」を減らされることなく、0・5ゲーム差のままで虎は広島入りした。ただ、それ以上の〝朗報〟は出場選手登録の公示のタイミングで、誰も抹消にせずに済んだこと。一人も欠けずに、全員で力を振り絞ってVを奪う。泣いても笑っても残りは3戦。3勝0敗で進んだとき、残り5戦のヤクルトが2勝3敗なら、大逆転の優勝がかなう。近本も含めた全員で、それを成し遂げる。
誰もが最悪の事態の訪れを感じた。21日の中日戦で、近本は一回無死一、三塁から二ゴロを放ち一塁へ走った際に表情をゆがめた。そのまま試合を退き、西宮市内の病院へ向かうと、球団広報は「試合中に右ハムストリングの強い張りを感じたため、大事をとって交代」と発表した。眠れなかった虎党もいたかもしれない。チームでただ1人、全140試合に先発出場し、得点(91)と安打(178)はリーグ断トツ。リーグ2位の打率・313に加え、自身初の2桁10本塁打を放った選手会長が出場選手登録から抹消されるとなれば、残り3戦全勝など誰も思い描けなくなるところだった。
23日の即出場は、状態を見てのギリギリの判断となるはずだ。だが、戦線に踏みとどまった近本なら必ず、チームが一番苦しいところで引っ張ってくれるはずだ。
矢野監督は「ピッチャーはつぎ込んだりしていくしかないんでね、うちは」と攻めの采配を誓った。険しい道でも、ここでこそチームを引っ張るために、近本は残った。投手も野手も全員が一つになり、同じ覚悟と執念を持って進めば、頂点は見えてくる。(長友孝輔)