【TOKYO2020+1カウントダウン】
「いろんな『見る』があるじゃないですか。診察の診。観察の観。ぼーっと見るんじゃなくて、見定めるとか技を盗むとか」
■「体操をなめる子供にしたくない」
ジュニアの育成に携わって40年超。学生時代に鍛えた観察眼は指導の礎となり、着眼点の重要性を子供たちに伝えている。もっとも「橋本は言わなくても(考えながら)見ていた」というほど貪欲だった。
山岸代表はさらに、4つの指導理念を掲げる。「きれいに」「確実に」「大きく」「難しく」-。「体操勘を小さいうちに身につけさせたい。体操をなめる子供にしたくない」と力説する。
佐原ジュニアで基礎を固めた橋本は、千葉・市船橋高で次々と技を習得。昨春に進んだ順大で、世界屈指の構成を雄大に演じる力を養っている。「最強ニッポンを作り上げていきたい」。今や手本として見られる立場となった新エースが、東京五輪の主役となる。
■個人、団体2冠へ
橋本は東京五輪の個人総合で金メダル争いを期待されている。単純比較はできないものの、優勝した4月の全日本選手権決勝の6種目合計は、2019年世界選手権を制したナゴルニー(ロシア)の88・772点に迫る88・532点だった。目標は団体総合との2冠。日本協会の水鳥寿思男子強化本部長は「世界最高レベルの仕上がりまで来た」と評価している。
橋本 大輝(はしもと・だいき)
2001(平成13)年8月7日生まれ、19歳。千葉・成田市出身。市船橋高から順大。19年は世界選手権で白井健三以来となる男子高校生での代表入りを果たし、団体総合で銅メダル。国内トップ選手で争った個人総合スーパーファイナルで優勝。今年は4月の全日本選手権、5月のNHK杯を制覇。166センチ。57キロ。