2021.4.16 12:00

【ベテラン記者コラム(134)】古巣を14季ぶり優勝に導いた好漢・柳田、東京五輪へ生き残り目指す

【ベテラン記者コラム(134)】

古巣を14季ぶり優勝に導いた好漢・柳田、東京五輪へ生き残り目指す

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柳田将洋

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 バレーボール・Vリーグ男子は今月4日の決勝で、サントリーがパナソニックを下し14季ぶりの制覇を果たした。1999-2000年シーズンから5連覇した名門も、最後の優勝は山村宏太監督が現役だった06-07年シーズン。今の選手にとっては初優勝といえる。

 経験の浅い選手たちを精神面で引っ張り、優勝に導いたのが、古巣に4季ぶりに復帰した柳田将洋(28)だった。慶大卒業後にサントリーに入団した柳田は世界で戦える存在を目指し、過去3季はドイツやポーランドのリーグに参戦してきた。

 今季の復帰で、「マサ(柳田)が海外で経験してきたこと、取り組む姿勢がウチに一番必要だと思った」。そう話す山村監督は、柳田がプロとして競技に向き合う姿勢を行動で示してくれたという。「『全力』とは何なのか、取り組み方の根本を教えてくれた。(おかげで)チーム全員が『成長しよう』と思ってくれた」

 その思いがあったからか、その後の苦境をチームは見事に乗り越えた。

 シーズン佳境の12月上旬、選手、スタッフ計4人が新型コロナウイルス検査で陽性となり、チームは2週間の活動中止。同月の天皇杯全日本選手権は欠場した。それでも隔離期間を終えて練習再開した際、「全員で乗り越えようという思いが強くなっていた」と柳田。年明けのリーグ再開から21連勝し、レギュラーシーズン1位となった。

 「あの苦しさを通ってきたからこそ、一人一人の覚悟が強くなったと思う」という柳田は「僕自身も学ぶことが多く、成長できた」と振り返る。

 欧州時代に常に連絡を取り、海外での生活や体調などを気遣ってくれていたサントリー関係者から「チームが苦しんでいる。優勝させるために戻ってほしい」といわれ、意気に感じて復帰を決断したという柳田。今は東京五輪へ向けた日本代表候補による合宿中だ。

 3季着けたキャプテンマークは今季、後輩の石川祐希(25)=ミラノ=に譲った。これは12人しか残れない東京五輪代表に柳田の場所が保証されているわけではないという、冷厳な事実を示す。

 柳田自身も覚悟の上。「代表は個人の力が試される。まずは生き残らないと。そこにフォーカスして頑張りたい」。好漢が念願の舞台に立てる日が来ることを、願ってやまない。(只木信昭)