2021.3.12 12:00

【ベテラン記者コラム(119)】大阪でお相撲さんの歩く姿を見たい

【ベテラン記者コラム(119)】

大阪でお相撲さんの歩く姿を見たい

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エディオンアリーナ大阪

エディオンアリーナ大阪【拡大】

 今年3月の大阪はいつもと雰囲気が違う。なぜかなと考えたら、お相撲さんの姿がないからだった。14日初日の春場所(三月場所)の会場は大阪のエディオンアリーナ大阪から東京の両国国技館に変更された。新型コロナウイルスの感染状況や拡大予防のためで、地方場所は昨年7月の名古屋、11月の福岡に続いてまたも東京開催に変更となった。

 サンケイスポーツの大阪本社は大阪・難波にあり、エディオンアリーナ大阪にも徒歩で5分ほど。この時期は出勤の際になんば駅を降りると、場所へ向かう力士が何人も歩いているのが見えて、あたりには鬢付け油のにおいが漂っているのが当たり前だった。もちろん、エディオンアリーナ大阪の正面には力士名が書かれたのぼりが多数立ち、春場所開催のムードを盛り上げていた。それが今年はないのだ。

 春場所は1953(昭和28)年から大阪開催の本場所として加わった。時期的に初土俵を踏む新弟子も多く、「荒れる春場所」と呼ばれて波乱が多いイメージもある。個人的には、当時絶大な人気だった大関貴ノ花が優勝決定戦で横綱北の湖を寄り切って初優勝を飾った1975(昭和50)年の春場所が子供心に印象に残っている。

 八百長問題で春場所自体が中止となった2011(平成23)年以来となる、力士が大阪にいない3月。この1年ですっかり当たり前になってしまったが、大相撲担当の記者も場所中はパソコンの前に座り、取組後の力士とはリモートで取材する。負けると取材に応じない力士もいるが、追いかけて話を聞くすべもない。

 記者は大相撲担当だったとき東京本社勤務だったので、3月はまるまる1カ月、大阪に出張。難波や心斎橋で力士と飲んだりしたものだが、いまではそんなことは言語道断である。コロナ禍でいろいろ変わってしまった。ただ、いつかまた春になるとお相撲さんが大阪の街を歩く景色が戻ってくるといいなと思う。(牧慈)