2021.3.4 07:30

【池田純 S-Businessの法則】橋本新会長には五輪への機運高める秘策は権力への「わきまえない」姿勢

【池田純 S-Businessの法則】

橋本新会長には五輪への機運高める秘策は権力への「わきまえない」姿勢

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池田純 S-Businessの法則

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長が橋本聖子さんに交代しました。森喜朗前会長による女性蔑視発言に端を発した今回の騒動で感じたのは、女性の登用以前に、公務員接待問題も含めて日本には権力維持のための「不透明さ」「ネポティズム(縁故主義)」があるということ。権力主義にスポーツが道具として飲み込まれ、政治の“下”の位置付けにあるということを改めて感じさせられました。

 スポーツと政治が表裏一体の関係にあるのは事実です。プロ野球DeNAの球団社長時代、何をやるにしても大前提として横浜市政のことを熟知していなくてはなりませんでしたし、政治とのつながりを重視することで、横浜スタジアムのTOB(友好的買収)も実現できました。

 ただ、近しくても常に対等、緊張関係にあることが大事です。橋本さんの就任会見も、よく観察すると、政治家や組織委の幹部がまず前面に出て、本人のあいさつは後回しだった印象を受けました。このように政治の“下”にスポーツが置かれている現実が表立って見えると、ファンや国民は冷めてしまいます。

 今回の騒動では、森前会長の「わきまえる」という言葉も批判されましたが、「わきまえる」必要があるのは女性ではなく、逆に権力を持つ側です。かつて競技で活躍し、はつらつとした表情を見せてくれた選手が「わきまえ」た慎重な発言に終始し、政治権力やネポティズムの中で評価され、さまざまな立場に就くことが多いように感じます。

 しかし、元アスリートが単なる国民向けの“顔”になることを国民が喜ぶ時代は終わったように私は思います。橋本新会長には権力に「わきまえる」ことなく、是々非々で変革を実践する姿を見せ、五輪への機運を高めてくれることを期待してやみません。

 スポーツに関わる者としては東京五輪が無事に開催され、盛り上がってほしいと切に願っています。一連の流れを見て、日本のスポーツを良くするには、やはり本当にスポーツを理解する人が政治家になる必要があるとも感じます。アスリートや経営者らスポーツの世界から、お飾りではない本物の政治家が出てきたとき、初めてスポーツは政治という“壁”を越えていけるのではないでしょうか。

池田 純(いけだ・じゅん)

 1976(昭和51)年1月23日生まれ、45歳。横浜市出身。早大を卒業後、住友商事、博報堂を経て2007年にDeNA本社に執行役員として参画。11年12月にプロ野球DeNAの初代球団社長に就任。16年10月の退任後はスポーツ庁参与などを歴任。現在はさいたまスポーツコミッション会長、B3さいたまオーナー、ノジマ社外取締役などを務める。