2021.2.4 12:00

【ベテラン記者コラム(103)】124年ぶりとなった珍しい「節分」に横綱白鵬の情緒をくみとる

【ベテラン記者コラム(103)】

124年ぶりとなった珍しい「節分」に横綱白鵬の情緒をくみとる

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成田山新勝寺の節分会で豆をまく稀勢の里(左)と白鵬の2横綱

成田山新勝寺の節分会で豆をまく稀勢の里(左)と白鵬の2横綱【拡大】

 令和3年の「節分」は暦のずれの影響で1日早まり、明治30年以来124年ぶりに2月2日となる珍しい年になった。節分は二十四節気(にじゅうしせっき)の「立春」前日とされており、地球の公転との計算上、今年は立春が3日になったからだ。

 例年の節分は、大相撲の横綱白鵬や人気力士の幕内遠藤ら数人の力士が参加する千葉・成田山「新勝寺」の節分会(せつぶんえ)へ足を運んでいた。だが、コロナ禍にあって「密」を避けるため、力士や著名人による豆まきは見送られた。新勝寺によれば、現在の大本堂が建立されて力士が豆まきを行うようになった昭和44年の節分以降、中止となるのは初めて。全国の神社仏閣でも、自粛が相次いだという。

 節分行事は神事でもある。力士が踏む「四股」はもともと邪気をはらむ「醜(しこ)」を指し、四股を踏むことで大地を鎮め「天下泰平」「五穀豊穣(ごこくほうじょう)」「無病息災」をもたらすことから、力士が招かれるようになった。裃(かみしも)をつけた遠藤や御嶽海は「こういう機会に、お相撲さんになったことを実感する」と口にしていた。

 相撲部屋や力士は、年が明けて間もなく開かれる1月の初場所を終えてからようやく正月気分を味わうといわれ、節分は一年を振り返る大切な節目にもなっている。

 白鵬は平成18年から新勝寺の節分会に参加。途中離れた期間もあったが、平成24年から連続で招かれ、昨年まで13度参加している。2年前の節分会では、17年から新勝寺の豆まきに連続参加し、31年初場所限りで引退した元横綱稀勢の里(現荒磯親方)の姿が消えた。同寺では、現役力士の招待を原則としているためだ。それまで10度、そろって参拝者らに豆をまいた「僚友」を失った白鵬は、複雑な感情をにじませた。

 「今年は1人足りないね。それが稀勢関。時は流れていくもの。これが人生ってことだろうね。来年はまた(新たな)誰かが増えるのかな」

 政府は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発令していた緊急事態宣言の延長を決めた。感染対策はどうしても対症療法の繰り返しとなり、疲弊感が積み重なっていく。季節の移ろいや年中行事、そして風物詩。心の“歳時記”は、潤いをもたらし、ささやかな救いになる。(奥村展也)