2021.1.7 12:00

【ベテラン記者コラム(92)】大相撲の西岩親方(元関脇若の里)から聞いたトランプ米大統領の存在感に“初笑い”

【ベテラン記者コラム(92)】

大相撲の西岩親方(元関脇若の里)から聞いたトランプ米大統領の存在感に“初笑い”

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西岩親方

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 米大統領選での敗北受け入れを拒むトランプ大統領の抵抗は、年が明けても続いている。74歳。論語では「70にして矩(のり)をこえず」。「70歳になって欲望のままに行動しても、人の道にはずれることがない」と説くが、なかなかどうして…。

 大相撲の令和元年夏場所千秋楽。令和初の国賓として来日したトランプ大統領が東京・両国国技館にメラニア夫人、当時の安倍晋三首相夫妻と観戦に訪れた。厳重な警備態勢が敷かれ、館内総立ちとなる熱烈な歓迎に、190センチの体を揺らしながら右手を振り、声援には親指を立てるサムアップで応えていた。

 前日に平幕優勝を決めた幕内朝乃山の取組から結びの一番まで5番を観戦。史上7人目の国賓となった米大統領として初めて土俵へ上がり、この機会に新たに設けられた「米国大統領杯」を自ら朝乃山へ手渡した。

 土俵周りでこの場面をみていたが、朝乃山よりも大統領の近くにいた人物を覚えているだろうか。

 大統領杯授与の際の介添え役として傍らに寄り添い、約137センチ、約30キロの大統領杯に手を掛けていた審判委員の西岩親方(44)=元関脇若の里=だ。数日前に関係者から指名され、事前に控室で大統領とリハーサルを行い、「お手伝いさせていただきます」と通訳を通してあいさつすると、大統領は「サンキュー」と笑顔で握手を求めてきたそうだ。「光栄なこと。一生の記念。控室で大統領と練習したときには『君が全部持ってくれ』といわれていた。だけど、いざ本番が始まるとほとんど(大統領が)持って、こちらは手を添えるだけだった」。

 苦笑いを浮かべた西岩親方の説明には、次の手が読めない大統領の性格が透けてみえた。

 それから1年近くがたっても、同親方の鮮烈な印象は色あせていなかった。「いまでも人生最大の大役だったと感じている。あれだけオーラがある人とは会ったことがない。これが米大統領というものかって」。史上1位の連続三役在位19場所をはじめ、23年半の土俵人生を全うした親方をもうならせる存在感。約7400万票も獲得した熱い支持基盤もうかがい知ることができた。

 コロナ禍にあって、目先の予定さえどうなるか知れない。そんな松の内にあって、3年先の大統領選を思う自分に“初笑い”した。(奥村展也)