2021.1.7 07:30

【池田純 S-Businessの法則】一番楽しいのは“学園祭前夜” 大人になって忘れた高揚感こそビジネスの根幹

【池田純 S-Businessの法則】

一番楽しいのは“学園祭前夜” 大人になって忘れた高揚感こそビジネスの根幹

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池田純 S-Businessの法則
池田純氏

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 新たな年を迎え、いよいよ新たな挑戦が始まります。昨年経営権を取得したバスケットボールB3さいたまの開幕戦を16日に控え、私はベンチャーの立ち上げ時のようなワクワク感を覚えています。

 当初は主催全試合を入場無料にしようと計画していましたが、リーグからのお達しで断念しました。ただ、開幕戦は「さいたま市プレゼンツ」の形で入場無料を実現できます。緊急事態宣言により幻となってしまう可能性もありますが、ぜひ多くの人に試合を見に来ていただきたいし、楽しんでもらうべく、泊まり込み、徹夜で準備を進めています。

 プロ野球DeNAの1年目は、既にある球団の再建を社長として託された形でした。しかし、今回は数億円の債務をなくし、職員を集め、行政とのつながりをつくり、スポンサーを募って、選手もそろえる。本当にゼロからやっています。

 まだB3のクラブ。多くのお金はかけられません。それでも、開幕戦では音にはこだわろうと会場で流す音楽、ウーハーなどの音響機材を自ら選び、席割や装飾、グッズの製作も進めています。

 大変そうに思われるかもしれませんが、実はこの立ち上げこそが経営で最も楽しい時間です。アップルなどの世界的企業も、創業者が一部屋で寝泊まりする環境で始まりました。バスケを羽ばたかせたい。一獲千金を狙いたい。そんな夢と希望が“開幕前夜”には詰まっています。

 例えるなら“学園祭前夜”の高揚感に近い感覚でしょうか。私の大好きな映画に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(押井守監督)があります。この作品では“学園祭前夜”が永遠に繰り返されます。

 いざ始まってしまえばあっという間。仲間たちとワイワイと言い合いながら準備を進める前夜までが、何より楽しかった。大人になるとなかなか味わえないあの感覚こそ、私にとってスポーツエンターテインメントビジネスの根幹といえるもの。楽しんでつくってこそ、楽しんでもらえるのです。

 プロ野球で球団社長を務めた経営者が、なぜB3で新たな挑戦を始めるのか。あの名作映画を見ていただければ、意味が何となく分かっていただけるかもしれません。

池田 純(いけだ・じゅん)

 1976(昭和51)年1月23日生まれ、44歳。横浜市出身。早大を卒業後、住友商事、博報堂を経て2007年にDeNA本社に執行役員として参画。11年12月にプロ野球DeNAの初代球団社長に就任。16年10月の退任後はスポーツ庁参与などを歴任。現在はさいたまスポーツコミッション会長、B3さいたまオーナー、ノジマ社外取締役などを務める。