【ネクストスター候補(29)】
体操男子で2018年ユース五輪5冠の北園丈琉(たける)は、東京五輪期待の星として注目を集める。1984年ロサンゼルス五輪2冠の具志堅幸司(現日本協会副会長、日体大学長)ら14人のオリンピアンを輩出した大阪・清風高3年の18歳。名門で受け継がれる「清風魂」を胸に研鑽(けんさん)を積んでおり、優勝を目標に10日開幕の全日本選手権(高崎アリーナ)に臨む。(取材構成・鈴木智紘)
栄光の軌跡として体操場の壁に並ぶOBの写真に見守られ、北園は練習に没頭していた。その心には「清風魂」が宿る。
「核心に触れるまで努力するという意味があります。自分の『核』となる言葉です」
創立75年の中高一貫校が掲げる教育理念で、仏教に基づく。輩出したオリンピアンは14人。昭和では監物永三に具志堅幸司、平成では米田功に鹿島丈博と枚挙にいとまがない。のべ32個のメダルを獲得し、体操ニッポンの歴史を彩ってきた。
日本男子で高校生の五輪代表となったのは、清風の3年生コンビとして1988年ソウル大会で団体総合銅メダルに貢献した池谷幸雄と西川大輔だけ。努力の精神を継承する18歳は、先輩の歩みを道しるべとしてきた。
仮面ライダーに憧れ、3歳で競技を始めた。自宅から自転車で約20分の距離にある大阪市東住吉区の「トミオカスクール」に通った。師事した指導者が清風高の卒業生という縁もあり、小学生の時から伝統校の練習に参加。熱気に引き込まれて迷わず清風中に入り、当時から目標を「東京五輪で金メダル」と公言してきた。
決して器用ではない。「1個の技ができるようになっても、(演技として)10個を通してできない。6年計画でやってきた」と梅本英貴監督(44)はいう。