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【ネクストスター候補(28)】生馬知季、“チーター走法”で目指すは東京パラの表彰台/陸上

【ネクストスター候補(28)】

生馬知季、“チーター走法”で目指すは東京パラの表彰台/陸上

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競技用車いすの「レーサー」を操る生馬知季。“チーター走法”で東京パラ出場とメダル獲得を狙う(写真提供:グロップサンセリテWORLD-AC)

競技用車いすの「レーサー」を操る生馬知季。“チーター走法”で東京パラ出場とメダル獲得を狙う(写真提供:グロップサンセリテWORLD-AC)【拡大】

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 パラ陸上男子200メートル(車いすT54クラス)日本記録保持者の生馬(いこま)知季(28)=グロップサンセリテWORLD-AC=がこのほど、岡山県内でサンケイスポーツの取材に応じた。9月の日本選手権で100メートル、200メートルと短距離2冠に輝いたスプリンターが、“チーター走法”でパラリンピック初出場とメダル獲得を目指す。(取材構成・武田千怜)

 Tシャツがはち切れんばかりの分厚い胸板に、太い腕。コロナ禍でも、所属するパラスポーツの実業団「WORLD-AC」専用のトレーニング場で鍛え上げてきた生馬の表情は充実感に満ちていた。

 「予定通り東京パラが開催されていたら、今あるもので臨むしかないというモヤモヤが正直あった。延期が決まり、今よりも強くなるための突破口になればとウエートトレーニングの頻度を増やした。体づくりを集中的にやってきました」

 先天性の二分脊椎症で、生まれつき足が動かしにくい。三輪の競技用車いす「レーサー」を操るT54クラス。腕でタイヤを回すため腕の筋力が重要に思えるが、大切なのは「体の連動性」だという。

 参考にするのが、時速100キロ超といわれる陸上の“スピード王”チーターの動きだ。「チーターは走るときにうねうねと背骨が波打つ。出力の根源は内側にあり、内側からムチのように先端に力が伝わる。そういう体の使い方ができたらいい」。チーターの動きのように体の中心である体幹でパワーを生み出し、腕に伝える意識を持って取り組んでいる。

 パワーの源となる体幹や広背筋と、力を発揮する腕回りや肩回りの筋力を同時に強化するため、9月からはトレーニングに倒立歩行を取り入れた。週に2度、屋内ランニングマシン「トレッドミル」を逆立ちで歩いている。

 和歌山・文成中時代は車いすバスケットボールに打ち込んだが、「自分のことに集中し、コツコツと取り組むことが好き」と17歳で個人競技の陸上に転向。2015年12月にパラリンピック3大会連続出場中の松永仁志(48)が選手権監督を務める「WORLD-AC」に入って急成長を遂げ、16年4月に100メートルの自己ベストを0・5秒以上も短縮した。初出場した17年ロンドン世界選手権の男子100メートル(車いすT54)では日本選手でただ一人、決勝に進出して8位。世界と戦う意識が芽生えた。

 東京パラリンピック出場圏内の記録は保持しており、「まずは東京パラの出場権をつかみたい」と生馬。実現すれば初出場となる大舞台で「自信を持ってスタートラインに立てるよう準備する。そして100メートルでメダルを取る」。来夏にはパラ陸上のスピード王として君臨する。

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