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【ネクストスター候補(27)】宮地秀享、最高難度「ミヤチ」を習得するまで 始まりは車輪から/体操

【ネクストスター候補(27)】

宮地秀享、最高難度「ミヤチ」を習得するまで 始まりは車輪から/体操

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鉄棒を握り続けてきた宮地秀享の手には練習の証しのマメがある

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 体操男子で種目別鉄棒に絞って東京五輪を目指す内村航平(31)=リンガーハット=と競い合うスペシャリストがいる。2017年世界選手権代表の宮地秀享(ひでたか、26)=茗渓クラブ=だ。鉄棒で自身の名が付くI難度の手離し技「ミヤチ(伸身コバチ2回ひねり)」を操る。五輪での活躍が期待される名手が大技を決められる理由とは-。(取材構成・鈴木智紘)

 ごつごつした手首に、幾つものマメがある手のひら。宮地の両手には、鉄棒を握り続けてきた証しがある。「ひねりがうまいわけでも、空中感覚が良いわけでもないんです」。妙技ができる理由を尋ねると、困惑した表情を見せながらも器具に触れ始めた頃の記憶を呼び起こした。

 「小学校や中学校から鉄棒で難しい技をやる人が多いけど、僕のクラブでは技をさせてくれなかった。車輪ばかりやっていたおかげですかね」

 小学生になる前から競技を始め、地元の「ならわクラブ」(愛知・半田市)に通った。車輪とは、バーを中心にして全身で円を描くように回転する基本動作。鉄棒をしならせ、生み出す遠心力を手離し技につなげる。「(成否は)手を離す前にほぼ決まります」。ひとえに基本といっても、繰り出す技によって脚の振り方やバーのしならせ方を細かく変える必要があるという。

 同クラブでは練習はおろか、試合でも技をさせてもらえなかった。それが将来を見据えた育成方針だったからだ。「もちろん退屈です。当たり前と思っていました。でも、いざ大会に出たら、みんな技をやっていた。恥ずかしくなりましたね」。鉄棒に臨む上で欠かせないハンドプロテクターは付けず、回転を補助する道具を使って黙々と全身で円を描き続けた。

 D難度の「コバチ」とE難度の「コールマン」は福井・鯖江高2年時に覚え、筑波大2年時にはG難度の「カッシーナ」を習得。体が成長するにつれ、難しい技をものにできるようになった。「ミヤチ」には大学3年時から取り組み、不格好ながら初練習時に早くもバーを握ることができた。

 棒上で後方伸身2回宙返りをする間に2回ひねって、再び鉄棒をつかむ。これを抱え込みで行うのが、内村らも操るH難度の「ブレトシュナイダー」。「ミヤチ」は最高のI難度で、2017年に国際連盟から正式に認定された。

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