2020.11.12 12:00

【ベテラン記者コラム(68)】元横審委員、山田監督の相撲映画を心待ちにしています

【ベテラン記者コラム(68)】

元横審委員、山田監督の相撲映画を心待ちにしています

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山田洋次監督 

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 大相撲を描いた映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」が、全国で公開されている。令和元年6月までの半年間、当時現役だった大関豪栄道(現武隈親方)、幕内妙義龍らが在籍する境川部屋と、幕内輝や竜電がいる高田川部屋に密着したドキュメンタリーだ。

 極限まで追い込む朝稽古や相撲部屋の日常生活、親方や仲間との絆…。サムライ魂を宿した素のままの力士を映し出し、本場所での熱き闘いへと誘う。伝統や文化、神事が混在する大相撲の精神性は、非日常を浮き立たせている。

 映画といえば、日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)のメンバーに、「男はつらいよ」シリーズなどで知られる映画監督の山田洋次さん(89)が在籍していたことがある。平成16年1月に委員に就任後、5期10年を務め、横綱朝青龍の度重なる問題行為に「品格」を問うた委員でもあった。

 同18年5月には母校、東大相撲部の名誉顧問に就き、現在も務めている。同年9月には東大駒場(東京・目黒区)キャンパスで行われた京大との定期戦に足を運んだこともある。学生相撲を初めて直接見たという、山田さんは「こんなに迫力があるとは思わなかった。堪能した」。上がり座敷で腕を組み、メモを取りながら見入っていた。

 当時、活動していた部員は7人という状況に「横審委員ではなく、東大OBとして引き受けた。これで部員が増えてくれれば」と願っていた。映画の素材としても興味を抱いた様子で、平成4年に公開された周防正行監督の相撲映画「シコふんじゃった。」を引き合いに、「(相撲の映画は)つくれると思う。東大に入った1人の青年、いまどきの大学生が心の中に持つ、悩みやあこがれを描いてみたい」とイメージも膨らませ、題名にも言及。「『ハッケヨイ(発気揚揚)』、『のこった、のこった』なんてどうでしょう」。

 委員として終盤にあった山田さんと、横審の定例会議後に歩きながら話す機会があった。映画の話に水を向けると「忘れていませんよ。できたらいいですね」。それから、ずいぶんと時間がたってしまった。相撲の勝負は俵に足が掛かってからが醍醐味(だいごみ)。実現の可能性はまだ「のこった、のこった?!」。(奥村展也)