2020.11.12 14:27

【池田純 S-Businessの法則】スポーツの世界に求められるのはバイデン流、「分断」ではなく「融和」

【池田純 S-Businessの法則】

スポーツの世界に求められるのはバイデン流、「分断」ではなく「融和」

特集:
池田純 S-Businessの法則
2016年に池田氏(右)はジーコ氏と対談。「プロ」について語り合った(提供写真)

2016年に池田氏(右)はジーコ氏と対談。「プロ」について語り合った(提供写真)【拡大】

 米大統領選でバイデン氏が「分断」から「融和」を唱え、勝利を確実にしました。実は日本のスポーツ界でも「分断」は永遠の課題です。先日、経営を見ているバスケットボールB3さいたまブロンコスで、マネジャーを通じて「チームで決起集会をやりたい」との申し出があり「分断を生むので駄目です」と返しました。

 感染対策は不可欠ですが、来年1月の開幕に向けて士気を高める場は設けてあげたい。ただ、営業、経理など関わる全員の参加が大事です。チームだけの決起集会を最初に許可してしまうと、選手はどんどん経営を見なくなり、経営とチームの「分断」が起こる引き金になります。

 プロ野球DeNAの球団社長時代にも「分断」の構造に疑問を感じたことがありました。“野球人”の世界の慣例で、チームは経営陣と一線を画す。就任当初は「社長はどこまで知りたいんですか」「こんなところまで社長が入るのは駄目」などと注意されることもしばしばでした。

 プロスポーツは、ファンに来てもらってなんぼの人気商売。経営を見ずしてファンに思いは向きません。私はコーチ会議やロッカールームなど、ずかずかと“分断された場所”に入り、意識の改革を図りました。

 印象的な言葉があります。2016年リオデジャネイロ五輪を視察し、サッカー元ブラジル代表のジーコ氏とサンパウロで対談した際、「プロとは何ですか」と問うと「クオリティー(質)だ」と返ってきました。

 緩い雰囲気もあるブラジルですが、プロ選手には食事、立ち居振る舞い、ファンサービスなど「全てのクオリティー」が求められると言います。お金をもらってプレーできている理由を分からないようでは、プロ失格なのです。

 冒頭で触れた決起集会の話はあくまで一例ですが、立ち上げ間もないB3のクラブでは、プロ野球以上に経営とチームの「分断」を生む要因には細心の注意を払い、徹底的に排除したい。一度「分断」が起こると「融和」に多大な時間がかかるのは、米国の現状を見ても明らかです。

 「分断」から生まれるのは対立だけ。話の規模は違いますが、今回の大統領選で、それを改めて学んでいます。

池田 純(いけだ・じゅん)

1976(昭和51)年1月23日生まれ、44歳。横浜市出身。早大を卒業後、住友商事、博報堂を経て2007年にDeNAに執行役員として参画。11年12月にプロ野球DeNAの初代球団社長に就任。16年10月の退任後はスポーツ庁参与などを歴任。現在はさいたまスポーツコミッション会長、B3さいたまオーナー、ノジマ社外取締役などを務める。