2020.10.15 17:27(1/2ページ)

【TOKYO2020+1カウントダウン】柔道・原沢の原点「240段階段ダッシュ」東京五輪金へ駆け上がる

【TOKYO2020+1カウントダウン】

柔道・原沢の原点「240段階段ダッシュ」東京五輪金へ駆け上がる

コロナ禍でも、原沢は拠点近くの公園などで階段ダッシュを続けている(原沢のツイッターより)

コロナ禍でも、原沢は拠点近くの公園などで階段ダッシュを続けている(原沢のツイッターより)【拡大】

 来夏の東京五輪柔道男子の強化合宿が今月12日、東京・北区のナショナルトレーニングセンター(NTC)を拠点に始まった。男子100キロ超級で金メダルを狙う原沢久喜(28)=百五銀行=ら既に内定している6選手が参加し、新型コロナ対策に努めながら強化に励む。最重量級エースの原点は山口・下関市立文関小時代の6年間続けた特訓「240段の階段ダッシュ」。生まれ育った思い出の地を、本紙記者が訪ねた。(取材構成・石井文敏)

◆小学時代6年間特訓「その後の土台に」

 コロナ禍で乱取りなどの練習が制限される中、原沢は東京都内の公園に足を運ぶ。そこで黙々と幼少期から慣れ親しむ“原点練習”を繰り返す。2016年リオデジャネイロ五輪銀メダリストは、故郷の山口を懐かしそうに振り返った。

 「階段ダッシュなどで足腰を鍛えた。頑張って、毎週行き、みんなであの階段を上った。スタミナもつき、その後の土台になるようないいトレーニングだったと思う」

 山口・下関市立文関小の6年間、在籍した大西道場スポーツ少年団で強さの礎を築いた。日和山(ひよりやま)公園に向かって走る伝統の練習メニュー「240段の階段ダッシュ」が原点だ。

 下関駅から徒歩15分の閑静な住宅街の一角。日曜日の午前7時15分から20分間、日和山公園内にある見上げるほどの傾斜がつく階段を4往復半、疾走した。本州と九州を隔てる関門海峡が一望できる観光スポットに向かい、果てしなく一直線にのびる階段。時に眠い目をこすりながら30人ほどの部員仲間と足が棒になるほどのメニューに励み、足腰を鍛えた。

◆ゴールで待つ幕末の志士・高杉晋作像

 ゴールとなる丘の上には幕末の志士、高杉晋作の陶像(高さ4・2メートル)が立つ。長州藩出身の先人を深く知ったのは日新中での授業だったというが、原沢少年は倒幕を志した高杉のように、「五輪金メダル」の夢に向かって階段を走り続けた。

 「小学生時代は基礎を学び、大学生になってからは勝てるようになりました」

 今でこそ身長191センチ、体重124キロと最重量級で闘う原沢だが、当時(小6)は身長150センチ、体重47キロの軽量級の選手だった。活躍を目指し、得意の内股を軸に技のスピードを生かした柔道を追い求めた。階段ダッシュなど下半身に負荷のかかるトレーニングを繰り返し、柔道の土台を身に付けた。

 日大2年時に学生日本一に輝いた。継続してきた階段ダッシュはスタミナや技の威力のみならず、相手の攻撃を防ぐ受けの強さにもつながった。努力が結果に表れ、日本男子最重量級を代表する選手へと成長。15年には全日本選手権を初制覇。16年リオ五輪は銀メダル。その後はオーバートレーニング症候群や故障に苦しみながらも昨夏の世界選手権(日本武道館)で2位。復活し、東京五輪代表に選ばれた。

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  • 原沢は少年時代、240段の階段で下半身を鍛えた(撮影・石井文敏)
  • 山口・日和山公園の頂上には高杉晋作像がある(撮影・石井文敏)
  • 2005年3月、山口・大西道場スポーツ少年団の卒団式で写真におさまる原沢。少年時代に強さの土台を築いた(大西道場スポーツ少年団提供)
  • 原沢はコロナ禍でも、継続してサポートを受ける森永製菓のトレーニング施設(東京・港区)で汗を流している(原沢のツイッターより)
  • 昨夏、日本武道館で開催された世界選手権で銀メダルを獲得した原沢。来夏の東京大会では日本柔道の威信をかけて畳に上がる