2020.9.17 18:32

佐藤希望、コロナ禍での試合の難しさに戸惑い/フェンシング

佐藤希望、コロナ禍での試合の難しさに戸惑い/フェンシング

女子エペで決勝進出を決め、笑顔を見せる佐藤希望=駒沢体育館

女子エペで決勝進出を決め、笑顔を見せる佐藤希望=駒沢体育館【拡大】

 フェンシング・全日本選手権(17日、東京・駒沢体育館)開幕し、女子エペは2016年リオデジャネイロ五輪代表の佐藤希望(34)=大垣共立銀行=が3試合を勝ち上がった。26日の決勝で寺山珠樹(18)=日大=と対戦する。新型コロナウイルスの影響でスポーツイベントの中止が相次ぐ中、東京五輪で実施される屋内競技で日本一決定戦が行われるのは初めて。各種目の出場選手を16人に絞り、無観客で実施された。

 剣先の交わる音が無観客の館内に響く。五輪2大会出場の実績を持つ佐藤ですら、コロナ禍での試合の難しさに戸惑いを隠せなかった。

 「検査の方がめちゃくちゃ緊張した。このまま帰ることになったら、どうしようかと」

 会場の東京・駒沢体育館には厳戒態勢が敷かれた。全32選手は会場入りの際、40分以内に結果が判明する「スマートアンプ法」で感染検査を実施。陽性者はいなかった。密を避けるため、競技コートは例年の半分となる4面に減らして試合ごとに消毒。審判もフェースガードをつけた。試合中、選手は持参するタオルで汗をふき取ることが求められた。

 5年ぶり6度目の優勝を目指す佐藤は、半年間試合から離れたうっぷんを晴らすように雄たけびを上げ、ガッツポーズを繰り出した。終わってみれば「自分のペースでいつも通りの戦い方ができた」と、準決勝までの3試合を順当に勝ち上がった。決勝は26日に東京・港区のニューピアホールで行われる。

 コロナ禍で自粛ムードが漂う中、五輪で実施される屋内競技で日本一決定戦が行われるのは今回が初。日本協会の太田雄貴会長は「変化を恐れないことが一番大事」と話す。中止や延期も検討したというが、大会運営はクラウドファンディングで当初の目標を上回る800万円超を集めて開催にこぎつけ、インターネット中継から寄付できる「投げ銭」システムも導入した。

 10月1日には陸上日本選手権(新潟)も開幕する。「ここまでやれば安心安全に試合が運用できると証明できた」と太田会長は胸を張り、「来年につながれば」と東京五輪への機運の高まりを期待した。(石井文敏)

 ■フェンシング・東京五輪代表選考の現状

 コロナ禍の影響で、五輪出場権獲得の対象となる国際大会は1大会を残して3月から中断。来年3月に実施される。昨年4月以降の成績に基づく五輪ポイントランキングは凍結されているが、成績は維持される見込み。佐藤は日本勢トップで、個人枠での五輪切符獲得が濃厚となっている。

佐藤 希望(さとう・のぞみ)

1986(昭和61)年7月3日生まれ、34歳。福井県出身。福井・武生商高から日体大を経て大垣共立銀行に所属。女子エペで2010年広州アジア大会団体金メダル、個人銀メダル。12年ロンドン五輪2回戦敗退、16年リオデジャネイロ五輪8位。全日本選手権は5度制覇。2児の母。旧姓・中野。173センチ、58キロ。