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【ネクストスター候補(8)】富田宇宙、自粛期間中に“秘密特訓”目標は東京大会金メダル/パラ競泳

【ネクストスター候補(8)】

富田宇宙、自粛期間中に“秘密特訓”目標は東京大会金メダル/パラ競泳

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、1年延期となった東京パラリンピック。昨年の世界水泳パラ選手権で2つの銀メダルを獲得した富田宇宙(うちゅう、31)=日体大大学院=がこのほど取材に応じ、約1カ月半の自粛期間中に“秘密特訓”で泳ぎ込んだことを明かした。自己ベストを更新し、東京大会での金メダルを目標に掲げた。(取材構成・石井文敏)

 収束が見えないコロナ禍の現状を踏まえた上で、固く決意した。視覚障がいの中で最も重い全盲クラス(S11)で戦うパラ水泳の富田は、1年後の夢舞台の開催を信じて今できることに集中している。

 「まずは皆さんが(東京五輪・パラリンピックを)開催してほしいと思える状況になるのが大前提。そう願いながら、一日一日を必死にやるだけと思っている」

 幼少期から水泳に取り組み、もともと視力はあったが高校時から進行性の目の病気で視力が低下。2017年からS11クラスとなった。30歳で初出場した昨年9月の世界選手権(英国)。同クラスの男子400メートル自由形と男子100メートルバタフライで銀メダルを獲得し、脚光を浴びた。鍛え抜かれた体は、見るものをひきつける。

 本来なら、26日は来月25日開幕のパラリンピックに向けて総仕上げを行っていた頃だった。だが1年延期となり、スポーツを取り巻く環境も一変。“3密”を避けるため、代表活動の見合わせなど自粛が続いた。それでも富田は「もともと(障がいで)不自由なので、(世界が自分に)合わせてきたという感覚」と、冷静だった。

 約1カ月半の自粛期間中は故郷・熊本市の実家に帰省し、“おうちトレーニング”に励んだ。2万円ほどのプールを即決購入。木を切るなどして庭を“改造”し、縦3メートル、横2メートル、高さ80センチの簡易プールを設置した。ゴムチューブを腰に巻き、負荷をかける形で毎日1時間の泳ぎこみ。コーチとはオンラインでつないで、充実のトレーニング環境を実現させた。

 富田家の近くではちょうど工事が行われていたそうで、「たくさんの人に見られた」。偶然の“公開練習”に、力が一層入った。「どんな状況でもやるべきことに注力することは、体に染みついている。パラスポーツのアイデンティティー。(練習場が)なければ作ればいい、と」。普段から障がいによる“不自由さ”の困難に立ち向かっている富田は、コロナ禍で我慢を強いられる時期でも己を貫いた。

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